【歯科医師国家試験】効率的な勉強法、科目・分野別のおすすめ勉強法
- 公開日:2023.06.02
- 更新日:2024.04.11
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これから歯科医師国家試験を迎えるあなたは、
「今まで自己流で勉強してきたので正しい勉強法が分からない…」
「暗記ばかりするなと言われているけどどうしたらいいの?」
「一番合格率が高い勉強法って何?」
「過去に合格した人はどんな勉強をしていたの?」
などとお考えではありませんか?
確かに国家試験の勉強法は、大学や予備校の先生、周りの友達や先輩などから様々な勉強法を勧められると思いますが、結局どれが一番自分に合っているのか分からずに迷ってしまいますよね。
しかし、実は歯科医師国家試験には、最低限これだけは抑えておくべき勉強法というものが存在します。
そこさえ抑えられれば、あとはあなたに合わせて勉強法を少しアレンジしたり、足りない勉強を補ったりすることで、よりあなたが確実に合格できるような勉強法に近づけることができるのです。
この記事では、当メディアを運営する「60日合格塾」が、これまで多くの受験生を指導してきた様々な知見やデータから、効率的な勉強法を詳しく解説します。
また、科目・分野ごとの最適な勉強法や、国家試験と卒業試験の勉強方法の違い、過去の合格者の勉強方法の実例も紹介します。
あなたがこの記事を読めば、今日から取り組むべき勉強がグッと具体的になり、合格に向けた一歩を踏み出せるでしょう。
ぜひ、最後まで目を通してみてください。
目次
1章:歯科医師国家試験の効率的な勉強法
この章では、歯科医師国家試験の効率的な勉強法を以下の順番で解説します。
- 理想の勉強時間・勉強スタイル
- 予備校・個別指導塾の活用方法
- 適切なテキストの選び方
- 国試本番を意識した勉強法
1-1:理想の勉強時間・勉強スタイル
ここでは、あなたが歯科医師国家試験当日を迎えるまでの残り数ヶ月間を乗り切るため、あなたが行うべき勉強時間と勉強スタイルの一つの指標をお伝えします。
1-1-1:勉強時間
当メディアを運営する「60日合格塾」が調査したデータでは、歯科国試受験生の毎日の平均勉強時間は6時間35分(現役・浪人、講義時間も含む)となります。
しかし結論からいえば、合格するために必要な勉強時間は何時間でも構いません。
理想の勉強時間は、人によって集中力が続く時間や生活リズムが異なり、一概に言うことができないためです。
そこで、ここでは毎日の勉強時間を決める上で最低限確保して欲しい2つの勉強時間をお伝えします。
それは、
① 1日の勉強終わりに勉強した内容を振り返る時間
② 翌朝に前日の勉強内容を1から思い出す時間
をそれぞれ15〜30分取ることです。
毎日意識してやらなければいけない勉強時間はたったこれだけです。
どうですか?肩の荷が少し降りたでしょうか?
これは、「人の脳は1度覚えたことを1時間後には56%忘れ、1日後には74%、さらに1週間後には77%忘れる」という「エビングハウスの忘却曲線」から導き出された最も「長期記憶」として残りやすい勉強法なのです。
もちろん個人差がありますが、「時間が経つほど記憶は減る」というのは事実です。
そこで、最低限当日の夜・翌朝の2回思い出すことが、国家試験当日まで頭に残る「長期記憶」にするためには欠かせないのです。
具体的には、以下のように
- 1日の勉強終わりにまっさらなノートを開き、その日勉強したこと・理解したことをテキストも何も見ずに書き出す
- 翌朝、同じ内容をもう一度書き出してみる
ことをおすすめしています。
「同じことを何度も振り返るなんて面倒!」
「その時間があったら少しでも先に進めたい」
などと思いがちですが、このような1日15〜30分振り返る時間が、最も合格に近づくための勉強時間であることを覚えておきましょう。
1-1-2:勉強スタイル
これから歯科医師国家試験の勉強をしていくにあたって、毎日多くの分からない知識や問題に直面すると思います。
その際は
① 何が分からないかを言語化する
② 調べる(分からない場合は人に聞く)
③ 調べた結果を人に教えられるまで理解する
このサイクルを回していきましょう。
勉強ができない人は、そもそも「①何が分からないかを言語化する」すらできておらず、ただ単に解答や解説を眺めるだけの勉強をしている傾向にあります。
そこで、自分に「何の知識が足りていないのか」「なぜこのように考えたのか」をしっかりと考えて言語化することが、正しく調べるための最初の一歩となるのです。
また、学習のステップには、
知る→わかる→できる→教えられる があり、右に行くにしたがってより深い理解を必要とします。
つまり、「人に教えられる」という行為ができれば、最も深く理解できているといえるのです。
これは後述するアウトプット型の勉強法にも繋がります。
もちろん、毎日直面する全ての分からないことに対して人に教えられるまで理解を深める必要はありませんが、国家試験に頻出な知識や特に苦手な重要なポイントは積極的に理解を深めることを意識していきましょう。
1-2:予備校・塾の活用方法
必ずしも全ての人に当てはまる訳ではありませんが、必要に応じて予備校・塾に通うことをおすすめします。
なぜなら、受験勉強で一番大切な「必ず出題されるコアな知識」がどこかを把握するためには、受験のプロから教えてもらうことが最も早いからです。
もちろん、大学の講義やテキストなどを活用したり、独学で勉強したりして合格できる受験生もいますが、かかる労力を考えると最短で合格するためには予備校・塾を有効活用すると良いでしょう。
そこで、あなたに合った予備校・塾を選ぶ際には、以下の判断軸から総合的に検討することをおすすめします。
- 模試の順位
- 現役or浪人回数
- 時期・入塾タイミング
- 予備校・塾や講師との相性
これらの判断軸から見た最適な予備校・塾の選び方は、こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひ一度読んでみてください。
【歯科医師国家試験】大手・中堅予備校と個別指導塾の違い、適切な選び方
1-3:適切なテキストの選び方
受験勉強をするにあたって最も重要なものの一つに、どのテキストを使用して勉強をするかにあります。
しかし、いざテキストを使って勉強しようにも、市販のものだけでも種類がたくさんあって迷いますよね。
また、大学や予備校の講義資料やテキストなどを含めると、どれをメインに使用していいか分からないという人も多いはず。
ここでは、最低限必要なテキストの種類から、その選び方、大学や予備校のテキストの使い方を解説します。
1-3-1:最低限必要なテキスト
国家試験の勉強をするために最低限必要なテキストは以下の3つとなります。
① 過去問解説書
② 科目別の参考書
③ 過去10年分ほどの過去問(厚労省のHP上でPDFが公開されています)
①の過去問解説書は、過去問の問題集と解説がセットになったものです。
- 歯科国試 ANSWER(DES歯学スクール)
- 実践(麻布デンタルアカデミー)
- 第115回歯科医師国家試験問題解説(麻布デンタルアカデミー)
国家試験では過去問の頻出知識から勉強していくことが最も効率的ですので、こちらをメインのテキストとして使用することをおすすめします。
②の科目別の参考書は、科目ごとにフォーカスしてイラストや図などを用いた解説がされているテキストです。
- 歯科国試パーフェクトマスター(医歯薬出版)
- NewText(麻布デンタルアカデミー)
- Dr.加藤の国試合格ノート(麻布デンタルアカデミー)
- 病気がみえるシリーズ(医療情報科学研究所)
受験勉強を始めるにあたり基礎が完全に抜けているという場合は、まずはこのテキストを1から取り組んでいきましょう。
また、関連する範囲の過去問No.が記載されていることも多いので、①の過去問解説書を進めていく中で分からないところはこちらのテキストを使用して理解を深めるといった使い方をおすすめします。
③の過去10年分ほどの過去問は、常に本番を意識した勉強をしていくために使います。
第115回の過去問PDFはこちらから
①の過去問を中心とした勉強を進めていくと、どうしても科目ごとの勉強に偏りがちになりますが、実際の国家試験では各科目がランダム形式で出題されるため、定期的に過去問を年度ごとに解いてみることで自分が国試本番でどれだけ通用するのかを確認するために使いましょう。
この3つのテキストは常に手元に置いておき、並行して取り組むようにしましょう。
1-3-2:市販のテキストの選び方
基本的に多くの受験生が市販のテキストを使用しています。
過去問解説書は可能な限り、全科目を同じ年度版のセットで揃えましょう。
科目別の参考書は過去問No.の記載があるものを選ぶことで、過去問と連動して使用することができるためおすすめです。
- NewText(麻布デンタルアカデミー)
- 口腔外科セレクトアトラス(麻布デンタルアカデミー)
- 歯科国試KEY WORDシリーズ(DES歯学スクール)
毎年、直近の過去問の出題内容を反映した新しい年度のテキストが発売されていますが、必ずしも最新版を使用する必要はなく、どうしても不安な方や出題基準改訂の2年目以降に受ける方は最新版を使用しても良いでしょう。
また、市販のテキストは全科目購入しようとすると数万円〜と結構な金額となるため、フリマアプリなどで販売されている中古のテキストなどを購入してみることも一つの手です。
1-3-3:大学・予備校のテキストの使い方
大学や予備校・塾のテキストやレジュメをしっかり活用して勉強していきたいと思われる方は多いでしょう。
しかし、ここでは一点注意が必要です
基本的に、大学や予備校のテキストや配布資料(レジュメ)は「講義をすること前提」で作られたものや、講義に用いたスライドそのまま配布していることが多いです。
いずれにせよ、講師がそれらを用いて「話すこと」を前提に作られており、話とセットでないと意味をなさない傾向が強いのです。
つまり、講義をきちんとメモを取りながら聞いて、何度も復習し、講義の内容を完璧に思い出せるようにしている人にとっては「これ以上ない」テキストになります。
しかしながら、多くの受験生はそのように講義を聞いてこなかったはずです。
ということは、講義とセットとなっているテキストや配布資料を使って勉強することは、あまり意味がないばかりかスムーズな理解の妨げになることも多いのです。
したがって、受験勉強時に使用すべきは基本的に自学自習で進められるような、「講義なし前提」で作られた参考書やテキストを用いて行うことが良いと言えるでしょう。
1-4:国試本番を意識した勉強法
受験勉強のゴールは、国家試験本番で初見の問題に対して、自分の持てる知識と思考力を総動員して、問題を解いていくところにあります。
したがって、最終的に合格を左右するのは「インプット力」ではなく「アウトプット力」です。
勉強法には「インプット」と「アウトプット」の2つがあるということは誰でも一度は耳にしたことがあるでしょう。
国家試験勉強における「インプット」というのは、インプットという言葉のイメージ通り「何かを覚える」という作業となります。
しかし、「アウトプット」というのは人によって解釈が分かれるため、当メディアでは以下の通り定義をします。
■アウトプットの定義
覚えた知識を組み合わせて、自分の考えを出力する作業
以下ではその具体的な方法を解説していきます。
1-4-1:インプット(暗記)は最低限に
「暗記が得意!」と胸を張って言える方はほとんどいないのではないでしょうか。
このようなインプット(暗記)作業は、受験生にとって一番の悩みのタネであり、最も時間をかけてしまう作業なのです。
確かに、必修問題では公衆衛生の制度名など、知っていなければ全く解けない問題が出題されるので、そのような知識は完璧に覚えておくことが合格の必須条件です。
しかし、当記事では「暗記は最低限で良い」ということをお伝えしたいと思います。
なぜなら、必修問題を除く一般問題・臨床実地問題では、最低限必要な知識を使っていかに答えを導き出すかが最も労力の少ない回答方法であり、それこそが出題者の意図と呼ばれるものなのです。
歯科医師国家試験の問題数の60%ほどは暗記だけでも対応可能な問題ですが、全てを完璧に暗記できるような受験生はいないため、その問題で満点を目指すのは正しい戦略とは言えません。
そうなると、残り40%の「最低限の知識を使って答えを導き出す」問題の正答率をいかに高めていくかに注力した方がよっぽど全体の得点効率が上がるのです。
そのため、やみくもに暗記を始めるだけではなく、まずは最低限の知識だけを覚えるということをしっかりと意識した上で、毎日の学習計画を組み立てていきましょう。
1-4-2:コアな知識を完璧にする
歯科医師国家試験では「コアな知識」を扱う問題にいかに対応できるかが合格の鍵です。
コアな知識とは、
- 過去問で何度も問われているような国家試験で重要とされている知識
- あらゆる方向からの問われ方が可能な知識
のことを指します。
そのようなコアな知識を問う問題は、大学の1〜5年生の定期試験・進級試験でも問われてきたような基礎問題であることが多いため、受験生の立場からすると、「自分はわかっている」という錯覚に陥りやすいのです。
実はここに大きな落とし穴があります。
確かに、コアな知識そのものを問う問題は誰でも知っている・できるような基礎的な問題です。
しかし、国家試験で難しいとされている問題の多くはコアな知識を使った「考え方」を問う問題なのです。
例えば、下記の115A-88の問題
この問題は、基礎的な知識を問う問題にも関わらず、正答率30%と、ほとんどの受験生が間違えた難問です。
一見して、しっかりと勉強している人ほど、
- 糖尿病は低血糖に陥りやすいので「ブドウ糖の投与」
- 意識消失しているから「アドレナリンの投与」
といった知識が頭の中に浮かんできてしまい、選択肢に惑わされやすいのです。
しかし、呼吸があるものの反応がない人には「まず、気道確保・回復体位」という、歯学部生であれば必ず習っている「救急蘇生法」のコアな知識を十分に理解していれば、迷いなく選べる問題なのです。(正答:a)
このような問題を提示している出題者側は、その問題を通じて、歯科医師として必要な「考え方」を問おうとしているので、基礎知識を表面上だけ知っていても、間違った通り道や考え方をしてしまっては正解を導き出すことができません。
「コアな知識」は大学や予備校の講義、参考書などで何度も繰り返し出てきますので、そのような知識に直面した際は、「分かった気分」にならず完璧に理解することを目指しましょう。
1-4-3:科目間の関連を意識する
受験勉強をしていく中で、今週は補綴学・来週は矯正学というように特定の科目をバラバラに進めていこうとしていませんか?
残念ながら、それは正しい勉強法とは言えません。
もちろん、直前期の追い込みなどのタイミングで、苦手な科目だけを集中的に勉強することは、既にある程度理解している内容を更に深めるためには効果的なこともあります。
しかし、これから受験勉強を始めるといった場合は、そのように科目ごとに勉強をするのではなく、常に科目間を跨ぎながら勉強していくことを意識していきましょう。
例えば、補綴学の過去問を解いていく際に、理工学・解剖学といった関連する科目や、全身疾患・先天性異常といった関連する知識をどんどん調べて肉付けしながら勉強をしていくといったイメージです。
このような勉強法は、一つの過去問を解くだけでもかなりの時間がかかり、1日の進度は遅くなります。
しかし、特定の科目だけを勉強するよりも強固な知識に仕上げることができ、まさにこのような科目間の知識こそが国家試験で問われやすい領域なのです。
加えて、国家試験本番では科目ごとに順番に問題が並んでいる訳ではなく、科目がランダムな順序で出題されます。
その際に、「この問題はこの科目だからこの知識」といった知識の引き出し方をしていると、スムーズに思い出せないばかりか、ちょっと捻られた問題であれば間違えてしまうことでしょう。
したがって、普段から科目間の垣根を無くした勉強の仕方をしておけば、国家試験本番であらゆる問われ方をされても対応できるようになるのです。
1-4-4:アウトプットに注力する
受験勉強では、インプット:アウトプット=2:3の比率で、アウトプットに注力していくことを意識していきましょう。
そのアウトプット作業には、主に以下の方法があります。
- 過去問を解く際に、自分なりの考え方を書き出しながら解く
- 自分が覚えた知識を人に分かりやすく説明する
- 自分なりの言葉で体系化してノートにまとめるなど、色々な方法があります。
ここで重要なことは、以下のイメージの通りインプットした知識を単純にそのまま出力・反復するだけではアウトプットには当てはまらないということです。
・ダメなアウトプットのイメージ
インプット アウトプット
A → A
B → B
C → C
・正しいアウトプットのイメージ
インプット アウトプット
A
B → A×B×C=D(自分の考え)
C
つまり、個別にインプットして覚えた知識を掛け合わせて、自分の考えとして出力することが、アウトプット作業で最も大切なのです。
アウトプット作業のまず手っ取り早い方法としては、1-1-1:勉強時間でお伝えしたように、
① 1日の勉強終わりに勉強した内容を振り返る時間
② 翌朝に前日の勉強内容を1から思い出す時間
のそれぞれ15〜30分間で、テキストや参考書などを見ずに覚えている知識だけを使い、その日勉強した内容から自分なりの考えを1からノートに書き出してみることです。
一見簡単なように思えますが、実際試してみると初めからこれを完璧にできる受験生はほとんどいません。
それくらい、覚えたことを自分の考えとして人に説明できるレベルでアウトプットできるようになるためには訓練が必要なことなのです。
しかしながら、日頃からこのようなアウトプット作業に注力することを心がけていけば、国試本番にはかなりの力が付いていますので、ぜひ意識して取り組んでみてください。
2章:科目・分野ごとの最適な勉強法
この章では科目・分野ごとの最適な勉強法ついて解説していきます。
しかし、基本的には1-4-3:科目間の関連を意識するで述べたように、「この科目にはこの勉強法」とするのではなく、科目間の垣根を意識せずに満遍なく進めていく勉強法こそが、知識を強固に身につけられ、国家試験であらゆる問われ方をされても対応できるのです。
ただし、「勉強の効率」を意識した場合は、科目・分野によって多少なりとも勉強法に違いはあります。効率を重視される場合や試験までの残り時間が少ないといった場合は、以下で解説する勉強法も取り入れてみてください。
2-1:必修の最適な勉強法
歯科医師国家試験において「必修」は、唯一の絶対的な範囲が決められた分野となります。
したがって、他の分野とは異なり圧倒的に対策が立てやすい分野です。
また、必修は出題範囲が決まっていることにより、過去問の類似問題が出やすい傾向にあります。
そのため、基本的には過去問で問われた内容を網羅的に勉強するだけで必修の合格基準の80%に到達可能です。
例えば、第114回と第115回で出題された下記の類似問題では、前年は誤答肢だったものが翌年には正答肢になっていることもあります。
このように、過去問に取り組む際は、正答の選択肢以外の誤答の選択肢について、
- なぜこの選択肢が誤っているのか
- 問題文がどう変わったらこの選択肢が正答になるのか
- 他に誤答の選択肢を加えるならどのような候補があるか
をしっかりと考えながら取り組んでいくことで、ただ単に解いて解説を読むだけとは全く違った理解の深まり方になるでしょう。
2-2:基礎科目の最適な勉強法
「基礎科目」を勉強するときには、1-4-2:コアな知識を完璧にするでも触れたように、すでに知っているという知識でも、もう一歩進んで理解を深めていきましょう。
その際は、常に臨床の場を意識した理解をすることが必要です。
というのも、歯科医師免許の取得者は、大学に残って基礎研究を行う道に進む以外の人がほとんどです。
細かい原理原則などの「枝葉の知識」は研究者には必要であっても、臨床の場では必須ではありませんよね?
したがって、歯科医師として知っておかねばならない基礎知識とは、臨床の場で必要となる本質的な基礎知識に他なりません。
そのような基礎知識を確実に抑えている歯科医師を国は欲しているため、臨床と関連のある知識こそが試験に出題されやすいポイントなのです。
そのため、細かい枝葉の知識の勉強は後回しにして、この知識が臨床の場で問われたら?という観点からもう一度理解し直すことが基礎科目の勉強法で最も大切なことです。
例えば、以下のように薬理学の「受容体」の知識は、臨床でよく使う麻酔と大きく関わっていますので、関連させて覚えるようにしましょう。
「60日合格塾」のInstagramでは、このような臨床と関連のある基礎知識を紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
2-3:臨床科目の最適な勉強法
まず、臨床科目、特に臨床実地問題における注意点を説明します。
臨床実地問題は、問題文からある程度のイメージさえつけば、偶然だったり何となく選択したりして「当たってしまう」ことがあります。
しかし、それを自分の実力と勘違いしてしまうと国家試験本番では対応できません。
臨床実地問題は試験の配点の50%以上を占めることから、臨床科目をなんとなく勉強している人は、好不調の波が激しく、成績が安定しない傾向にあります。
したがって、合格するためには、臨床科目でどんな問われ方をしても「確実に正解できる」という根拠が持てるように勉強をしていく必要があるのです。
臨床科目では、1-4-3:科目間の関連を意識するで解説している通り、最低限の基礎知識は覚えていることが前提です。
そのため、臨床実施問題を解く上で、関連する基礎的な知識が全く足りていないと感じたら、一歩戻って基礎から勉強し直すことを繰り返していきましょう。
その上で、問題文をきちんと読み、正しい解釈を行う訓練をしていきます。
臨床実地問題の問題文はただ読むだけではなく、そこから「何が?」「なぜ?」「他に関連するものは?」といった疑問を持ちながら、必要とあらばメモに書き出しながら取り組んでいきましょう。
以下の「60日合格塾」のInstagramでは、臨床問題を使った勉強方法を紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
3章:国家試験と卒業試験の違いと共通点
この章では、国家試験と卒業試験の同時合格を目指す現役生と、昨年卒業はできたものの惜しくも国家試験には合格できなかった浪人生向けに、国家試験と卒業試験の違いと共通点を解説していきます。
ぜひ、この1年間の勉強法を考える上での参考にしてみてください。
3-1:出題基準・範囲の違いと共通点
国家試験と卒業試験の一番大きな違いは、出題基準・出題範囲にあります。
国家試験では毎年「ブループリント」と呼ばれる設計図で出題基準・出題範囲が明確に提示されており、4年ごとの出題基準の改訂の際もそこまで大きな変更はなされず、小変更を繰り返していく傾向にあります。
また国家試験では、個々の大学の事情(例:この大学はここまで細かい知識を教えていたから合格率が高いなど)になるべく左右されないように、最低限必要な知識を使った「考え方」を問う問題が取り上げられるのです。
一方で、近年の歯学部の卒業試験では、
- 国試の出題基準から逸脱した問題
- 重箱の隅を突くような細かい問題
- 正答肢に論理的な根拠が薄い問題
というように、大学によって差はありますが、教科書を隅々まで暗記していなければ解けないような難問・奇問が多数出題される傾向にあります。
大学側としては、可能な限り国家試験に受かる実力のある学生だけを受験させたい(=合格率を高めたい)という方針があるため、国家試験に出題される『かもしれない』範囲までを徹底的に網羅した卒業試験が行われているのが現状です。
もちろん、国家試験も卒業試験もそれらの共通理念である「歯科医師として真に必要な知識を問う問題」が出題されることには変わりはありません。
したがって、国家試験の新出題基準や、卒業試験の重箱の隅を突くような難問・奇問に惑わされることなく、基本問題を確実に抑えることができれば合格できる設計となっています。
3-2:勉強法の違いと共通点
国家試験と卒業試験それぞれの合格に向けた勉強法の違いは大雑把に表すと以下の通りです。
卒業試験→暗記中心の勉強法でも合格できることがある
国家試験→考え方を問う問題への対策が必須
例えば、卒業試験は合格できたのに、国家試験には不合格となってしまった多くの人の勉強方法は、ひたすら知識を積み上げる暗記中心の勉強法を取っていた傾向にあります。
なぜならば、卒業試験では細かい知識を問う問題が多く出題されるため、運良くそれらに正答して合格点を取れることがあっても、国家試験では暗記だけでは対応できない問題も多いためです。
しかし、1章・2章でも説明した通り、コアとなる最低限の基礎知識を抑えて、あとは「考え方」を問う問題に対応できるような勉強法を取っていれば、卒業試験でも国家試験でも対応ができるのです。
3-3:合格に必要な能力は同じ
ここまで国家試験と卒業試験の出題基準・範囲と勉強法を解説してきましたが、どちらも合格するために必要な能力とは、
① 好奇心を持って自分の意思で学ぶこと
② 客観的な意見を受け入れられること
の2つに尽きると私は考えています。
① 好奇心を持って自分の意思で学ぶこと
受験勉強は少なくとも1年間の長丁場を全国に約3,000人いるライバルと競う試験であり、もちろんその間は苦痛に感じることが多いでしょう。
しかし、無理やり誰かにやらされているような受け身の勉強姿勢では、その人自身にどんな天性の学力があったとしても不合格になる可能性が高いのです。
そのため、好奇心を持ちながら勉強することで自分自身のモチベーションを高め続けていけるかどうかが合格するための1つの鍵であり、歯科医師として働く上でも欠かせない姿勢です。
② 客観的な意見を受け入れられること
受験勉強では、たとえ独学であったとしても、常に勉強の方向性が正しいかどうかを確かめる客観的な視点を持つことが欠かせません。
それが大学の先生や予備校・塾の講師からの意見であっても模試の結果表であっても、自分の現状を客観的に表した情報を素直に受け入れられる能力が重要です。
受験勉強に限らず歯科医師として働く上でも、自分だけが正しいと思わず、常に自分の考えを疑い、周りの情報や人の意見を素直に受け入れられる人だけが、適切な診断・治療が行なうことができるのです。
国は、これらの2つの能力を持った歯科医師を欲していて、その能力を測る試験こそが歯科医師国家試験なのだと私は考えています。
もしあなたが、自分にこの2つの能力が欠けていると感じた際は、まずは楽しいと思える分野の勉強から手を付けたり、信頼できる人にアドバイスを貰ったりすることから始めていきましょう。
4章:過去の合格者の勉強法の実例を紹介
この章では、当メディアを運営する「60日合格塾」が調査した、過去の合格者の勉強法の実例を紹介していきます。
実際にあなたが勉強を進める上で参考となるように
- 勉強時間
- 勉強法で意識したこと
- 辛い時の乗り越え方
の3点にまとめて記載しましたので、ぜひ目を通してみてください。
4-1:現役生のケース
現役生に多いケースは、肝心な国試対策を優先したいと思っていても、大学の講義に追われ、定期テスト・実力テストなどの学内試験に追われ、年間6回以上の全国模試とその復習に追われ、卒試対策に追われ、などやらなければいけないことが山積みでなかなか時間が取れないというケースです。
このように、自分自身で計画的に進めていける勉強時間が限られた中で、合格者が実際に取り組んでいた勉強法は以下の通りです。
【Mさん・私立大学】
・勉強時間
講義を除いた自習の時間は毎日4〜5時間ほど。
定期試験前などは深夜3時までかかったことも。
・勉強法で意識したこと
まず、過去問解説書(実践)をとにかく早く1周することを心掛けた(1日150ページ目標)。その際は正誤率や解説の理解度を意識せず、どんどん次に進めていくイメージ。そうすると、同じ内容が何回も問われていたり、頻出する用語などの出やすいところがうっすらと掴めてくる。
2周目は、その出やすいところを中心に、基礎知識をニューテキストや大学のレジュメで確認しながら1周目の倍以上の時間をかけて丁寧に解き直した。
2週目が終わったのが10月末くらいで、あとはひたすら足りない知識を少しレベルが高い参考書で補いながら模試の復習と3周目を進めていった。
・辛い時の乗り越え方
大学の試験に追われている時や苦手な科目を勉強している時はどうしても気が乗らなくて辛かった(自分の場合は矯正と部分床)。でも過去問を2周目した辺りから、なんとなく点と点がつながって線になるイメージが持ててきて達成感が生まれてきた。
あとはしっかり休むこと、辛いと感じたら机から離れて1時間休んで、強制的に机に戻ってくることを繰り返した。
4-2:浪人生(1浪目)のケース
1浪目の浪人生の合否を分けるポイントと言って良いのが、現役生がまだ本格的に国試対策を始めていない4〜9月ごろまでの過ごし方にあります。
そのような期間を上手く乗り越え合格を掴んだ方が実際に取り組んでいた勉強法は以下の通りです。
【Oさん・私立大学卒】
・勉強時間
私は大手予備校に通っていたので、9:00から21:00までは必ず予備校に居るようにしていました。1日の平均勉強時間は集中していた時間で8時間ほどです。
・勉強法で意識したこと
講義がある日は必ず講師の先生に質問や相談をして、自分の学習進度を把握してもらっていました。夏までには全範囲一周を完璧に終わらせたかったので、そのための計画を先生に相談しながら立てていきました。もちろん順調に進まない箇所もありましたが、進めやすい箇所を先に進めたりと計画を臨機応変に変更することで対応しました。
・辛い時の乗り越え方
1番辛かったのは、9月の全国模試1回目で思うような感触が得られなかった時です。「全範囲を終わらせたのになぜ出来ないんだろう?」と悩んで、これから現役生が追い上げてくることに焦ってばかりいました。
ですが、現役生を思えば、今年は卒業試験がない分まだまだ有利な位置にいると思考を変えて、卒業試験がない現役生の気持ちになってみたところ、気分が楽になって勉強がはかどるようになりました。
4-3:浪人生(2浪目以降)のケース
2浪目以降の浪人生に重要なことは、昨年失敗してしまった勉強法をそのまま引きずってしまわないことにあると考えています。
そのように、自分の勉強法を上手く見直して合格を掴んだ方が実際に取り組んでいた勉強法は以下の通りです。
【Kさん・私立大学卒・4浪】
・勉強時間
平均的な勉強時間は約8時間で、個別指導の授業のある日は10時間前後といった感じです。
・勉強法で意識したこと
1〜3浪目は大手予備校で、カリキュラム通りに授業を受けて過去問を解くだけの勉強法を繰り返していました。4浪目は、過去問は既に何周もしていて基礎はある程度掴めているつもりだったので、初見の問題に対応できる応用力が必要だと考えていました。
そこで1つの問題に対して、自分の持っている知識を全て書き出してみる勉強法を始めてみたところ、自分の知識が体系化して整理されていないことに気づきました。また、臨床から離れて時間が経っているので、もう一度全ての知識を臨床との繋がりを意識して理解し直していきました。
・辛い時の乗り越え方
これまでとは違う勉強法に取り組んだ1年だったので、これで不合格になったらもう取り返しがつかないという恐怖にはずっと襲われていました。しかし、初めて個別指導塾に通ってみて、先生との距離感が近く何度も励ましてもらえて非常に心強かったです。
5章:勉強法に迷ったら「60日合格塾」に無料相談を
もしあなたが勉強法に不安や迷い感じているのであれば、ぜひ一度、当メディアを運営する「60日合格塾」に無料相談してみてください。
5-1:1単元1枚のオリジナルテキスト
60日合格塾では、1単元1枚のオリジナルテキストを使用したインプット方法を採用しています。
一般的な勉強法では、分厚いテキストを1ページずつ覚えていくので知識の繋がりを意識することがどうしても難しい傾向にあります。
そこで、60日合格塾では大きな1枚のテキストを使用して、中心となるコアな知識から枝葉を広げるように体系化して覚えていくことを推奨しています。
このインプット方法は当塾に通わなくても自らの力で作ることでも実現可能ですので、無料面談ではその方法の紹介もさせていただきます。
5-2:アウトプット中心の個別カリキュラム
当記事の1章で説明したように、アウトプットに重きを置いた勉強法がとても有効です。
60日合格塾では、日々の生徒自身の勉強や講師との講義の中での徹底的なアウトプットを通して、「覚えた知識を引き出す力・知識を使って考える力」を伸ばし、国試本番に対応できる力を身に付けていきます。
無料相談の中では、このようなアウトプットメインの講義形式を実際に体験して頂くことも可能です。
5-3:完全オンライン 全国対応可能
当塾は、面談〜入塾〜受講までを完全オンラインとしています。
そのため、どのような場所にお住まいでも安心して受講することが可能です。
また、オンラインであるメリットを活かし、質問はチャットで24時間対応など、日々の学習の困りごとについてもすぐに解消できる体制を整えています。
5-4:無料個別相談はいつでも受付中
当塾では無料個別相談を電話・メール・LINE・Zoomなどで365日受け付けています。
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まとめ:効率的な勉強法は、コアな知識を抑えたアウトプット型の勉強法!
いかがでしたか?
今回の内容をまとめます。
■勉強時間
毎日、最低限確保して欲しい2つの勉強時間は
① 1日の勉強終わりに勉強した内容を振り返る時間
② 翌朝に前日の勉強内容を1から思い出す時間
をそれぞれ15〜30分取ることです。
■勉強スタイル
学習のステップには、「人に教えられる」ことに深い理解を必要とします。
そのため、分からないことに直面した時は
① 何が分からないかを言語化する
② 調べる(分からない場合は人に聞く)
③ 調べた結果を人に教えられるまで理解する
サイクルを回していきましょう。
■テキスト
最低限必要なテキストは以下の3つです。
① 過去問解説書
② 科目別の参考書
③ 過去10年分ほどの過去問
■コアな知識を完璧にする
コアな知識とは、
- 過去問で何度も問われているような国家試験で重要とされている知識
- あらゆる方向からの問われ方が可能な知識
この「コアな知識」を扱う問題にいかに対応できるかが合格の鍵です。
■科目間の関連を意識する
特定の科目だけを勉強するよりも科目間を跨ぎながら勉強していくことで、より強固な知識に仕上げることができ、このような科目間の知識こそが国家試験で問われやすい領域なのです。
■合格を左右するのは「アウトプット力」
「覚えた知識を組み合わせて、自分の考えを出力する作業」をアウトプットと呼びます。
そのため、
- 過去問を解く際に、自分なりの考え方を書き出しながら解く
- 自分が覚えた知識を人に分かりやすく説明する
- 自分なりの言葉で体系化してノートにまとめる
を徹底して行っていきましょう。
■必修の最適な勉強法
過去問に解く際は、誤答肢に対して、
- なぜこの選択肢が誤っているのか
- 問題文がどう変わったらこの選択肢が正答になるのか
- 他に誤答の選択肢を加えるならどのような候補があるか
を考えながら取り組んでいきましょう、
■基礎科目の最適な勉強法
基礎科目は本質を抑えた上で、臨床の場を意識して理解をすることが重要です。
この知識が臨床の場で問われたら?という観点からもう一度理解し直しましょう。
■臨床科目の最適な勉強法
偶然正解してしまった臨床問題を自分の実力と勘違いしないことが重要です。
問題文をただ読むだけではなく、そこから「何が?」「なぜ?」「他に関連するものは?」といった疑問を持ちながら、必要とあらばメモに書き出しながら取り組んでいきましょう。
- 出題基準・出題範囲
卒業試験では、教科書を隅々まで暗記していなければ解けない問題が出題される傾向にあります。
しかし、「歯科医師として真に必要な知識を問う問題」が出題されることには変わりはありません。
- 勉強法
暗記中心の勉強法でも卒業試験には合格できることがありますが、コアな知識を抑え、「考え方」を問う問題に対応できる勉強法であればどちらも対応できるのです。
- 合格するために必要な能力
① 好奇心を持って自分の意思で学ぶこと
② 客観的な意見を受け入れられること
これらの2つの能力は卒業試験・国家試験の勉強に限らず歯科医師として働く上でも欠かせない能力です。
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この記事の内容を参考に、今すぐ行動を開始していきましょう。
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