【歯科医師国家試験のA問題とは】国試の全体像を理解して対策を練る方法
- 公開日:2024.02.02
- 更新日:2024.02.02
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歯学部生のあなたは、
- 歯科医師国家試験のA問題って何?
- 歯科医師国家試験の対策をしたい
と思っていませんか?
結論からいえば、歯科医師国家試験のA問題とは、1日目の午前に行われる問題のことです。
1日目の午後がB、2日目の午前がC、2日目の午後がDであり、それぞれにランダムに出題されます。
歯科医師国家試験のA問題を含む過去問は、下記のページをご覧ください。
【歯科医師国家試験の過去問一覧】第113回~116回の問題をジャンル別に掲載
歯科医師国家試験は、
- 必修問題: 80 題
- 一般問題(総論):100 題
- 一般問題(各論):80 題
- 臨床実地問題(各論):100 題
という構成になっており、各問題の特徴をつかんで対策することが重要です。
そこでこの記事では、歯科医師国家試験の、
- A問題について
- 問題全体の構成について
- 特徴を踏まえた具体的な対策法について
を詳しく解説します。
歯科医師国家試験は、出題範囲が広いため、全体像や特徴を押さえた対策がとても大事になってきます。
ぜひこの記事を参考に、対策を練ってみてください。
目次
1章:歯科医師国家試験のA問題とは
さっそく、歯科医師国家試験のA問題について解説していきます。
A問題の内容を確認したい場合は、下記のページをご覧ください。
当サイトでは、歯科医師国家試験の過去問を見やすく整理し、誰でも活用できるようにしています。
【歯科医師国家試験の過去問一覧】第113回~116回の問題をジャンル別に掲載
冒頭でも述べたように、歯科医師国家試験のA問題とは、1日目の午前に行われる問題のことで、135分間行われます。
歯科医師国家試験は2日間にわたって行われ、それぞれ午前と午後の試験が分かれています。
そのため、1日目の午前がA問題、午後がB問題、2日目の午前がC問題、午後がD問題という構成になっています。
A~D問題とも必修問題が20問、一般問題が25問、臨床実地問題が25問となっています。
「まだ歯科医師国家試験の対策をしていない」
「これから対策を始めようと思っている」
という方はよくご存じないかもしれませんが、A問題だからといって出題される問題内容がB、C、D問題と違う特徴があるわけではありません。
国試では、A~D問題は各90問で、内容は各領域からランダムに出題されるのです。
そのため、A問題特有の対策、というものはありません。
しかし、歯科医師国家試験の出題範囲の構造や全体像を理解した上で、国試対策をすることはとても大事です。
そこで次に、歯科医師国家試験の全体像を説明します。
2章:歯科医師国家試験の全体像からA問題について知ろう
それでは、歯科医師国家試験の全体像を説明します。
国試の全体像を知って、どうすれば合格基準になるのか理解した上で勉強しましょう。
2-1:歯科医師国家試験の全体の構成
第116回以降の歯科医師国家試験は、計 360 問から構成されており、配点は下記の通りです。
必修問題、一般問題、臨床実地問題がA~D問題それぞれの中で出ます。A問題だから必修が多い、などということはありません。
これから、もう少し詳しく歯科医師国家試験の全体像を解説します。
2-2:必修問題
歯科医師国家試験制度における必修とは、「歯科医師として必ず具有すべき基本的最低限度の知識及び技能」とされているように、歯科医師として必須の基本的な知識を問うものを必修と定義しています。
唯一絶対的範囲が決められています。
範囲が決められているので、過去問と似ている問題が出題されやすい傾向にあります。
一般・臨床実地問題と比べて対策しやすいといえるでしょう。
引用元:厚生労働省
この必修を扱う「必修問題」は全80問から構成され、問題形式は
- Aタイプ…選択肢の中から1つ選べ
- X2タイプ…選択肢の中から2つ選べ
が採用されています。
※X2タイプは第116回より採用
必修問題は単純な知識のみで解答できる問題が多く、過去問の似た問題や基礎的知識に対しての暗記力や瞬発力が問われます。
しかし、中には見慣れない問題や即答できない問題ももれなく含まれているため、それらを瞬時に見分けた上で、論理的思考力によって答えを導き出すことが必要です。
必修問題対策としては、過去問で一度聞かれた問題は次年度以降に詳しく聞かれる可能性があるので、過去問の正答選択肢の深堀りや誤答選択肢のチェックなどが効果的です。
2-3:一般問題
一般問題とは、性別・年齢などの条件提示がなく、疾患や病態などの与えられたテーマについての知識を問う問題を指します。
必修問題のような暗記でも対応できる1問1答の問題形式に比べ、一般問題は総論・各論の範囲それぞれから疾患の基礎的な知識を問う問題が満遍なく出題されます。
※総論・各論などの区別については、後ほど説明します。
そのため、あやふやに覚えている場合は誤った選択肢を選んでしまう可能性があります。
また、一般問題で問われる知識の理解が浅い状態では、臨床実地問題の得点力に大きく影響してきますので、過去問を中心にしっかりとした対策が必要といえます。
常に臨床実地問題を意識して、知識のつながりを考えながら勉強してください。
一般問題には「総論」と「各論」がありますので、「総論」から説明します。
2-3-1:総論とは
「総論」とは、「歯科医学総論」に該当する範囲のことを指し、総論を扱う問題は全問題数のうちおよそ30%を占めています。
総論の構成としては、
- 総論Ⅰ 保健・医療と健康増進
- 総論Ⅱ 正常構造と機能、発生、成長、発達、加齢変化
- 総論Ⅲ 病因、病態
- 総論Ⅳ 主要症候
- 総論Ⅴ 診察
- 総論Ⅵ 検査
- 総論Ⅶ 治療
- 総論Ⅷ 歯科材料と歯科医療機器
の8つとなります。
ですが、総論を細分化して理解する必要はあまりありません。
全科目の中から「必修の基本的事項」を土台として構成される、歯科医師として必要な専門的・臨床的知識及び技能を問う問題、と捉えておきましょう。
2-3-2:各論とは
一方で「各論」とは、具体的な科目・分野に特化、かつ発展的な内容が含まれた範囲のことを指します。
各論の構成としては、
- 各論Ⅰ 成長・発育に関連した疾患・病態
- 各論Ⅱ 歯・歯髄・歯周組織の疾患
- 各論Ⅲ 顎・口腔領域の疾患
- 各論Ⅳ 歯質・歯・顎顔面欠損と機能障害
- 各論Ⅴ 配慮が必要な高齢者・有病者・障害者等に関連した疾患・病態・予防ならびに歯科診療
の5つとなります。
一般的に「臨床系科目」と呼ばれる、
- 小児歯科学
- 歯科矯正学
- 歯科保存学3科
- 口腔外科3科
- 歯科補綴学
- 高齢者歯科学
を中心とした、より臨床に近い科目が各論の大部分を構成しています。
2-4:臨床実地問題
「臨床実地問題」とは、患者の性別や年齢、実際の症例などの具体的な条件提示に対して、臨床実習で培った問題解決能力や思考力を問う問題を指します。
この臨床実地問題には1問3点の高配点が与えられていることから分かるように、歯科医師国家試験では、実際の臨床で遭遇する可能性の高い問題に対処することができる歯科医師を選抜するための試験ともいえます。
勘やなんとなくではなくきちんと根拠をもって正答を導きだせるよう勉強することが大切です。
基本的に、問題文の正しい解釈ができていれば選択肢の優先順位をつけられるようになり、良い点数が取れるようになるでしょう。
余談ですが、現代の歯科医療の現場では、高性能な医療機器を活用できるようになった結果、治療の質が歯科医師の腕に大きく依存するようなことが減ってきています。
そのような時代の変化から、患者当人の訴えや自分の目や耳で得た情報から疾患を診断し、適切な治療方針の提示ができることが、現代の歯科医師に本当に求められる能力になったという背景があります。
このように、それらの能力を短い試験時間内で見極めるための問題が臨床実地問題となりますので、基礎的事項を確実に抑えた上で論理的思考力を養い、一見ひねられた問題にも対応できるような対策が必要となります。
2-5:A問題と混同しやすい領域A・Bとは
歯科医師国家試験について調べ始めたあなたは、A問題、B問題、といった区分と領域A、領域Bといった区分があり、混乱してしまったかもしれません。
結論からいえば、A~D問題の方は、前述のように単に1日目の午前と午後、2日目の午前と午後の問題の区分に過ぎません。
重要なのは領域A、領域Bの区分です。
「領域」とは、単なる国家試験制度における出題上の区分を表す単語です。
第116回の国試からは、総論=領域A、各論=領域Bとシンプルな区分に変更されました。
領域AとBは、一般問題と臨床実地問題から構成されており、相対基準を用いた基準点が設けられます。
たとえば、合格発表時に、
- 領域A(総論) 58点以上/100点
- 領域B(各論) 244点以上/380点
というような基準点が公表され、前述の必修問題の正答率80%に加えて、領域A・領域Bそれぞれの基準点を満たしていれば晴れて合格となります。
「合格基準ってどうなってるの?」という疑問もあるかもしれませんが、詳しく書くと長くなるため、下記の記事で確認してみてください。
3章:歯科医師国家試験の問題の特徴と合格基準を理解した対策を練ろう
ここまでを読んで、
「A問題のことなどは分かったけど、これから国試対策をどうしよう」
と思われたかもしれません。
そこでこれから、
- 時間配分を意識する
- 配点を意識する
- まずは得意科目を勉強して苦手科目をカバーする
- 模試結果は見るべきポイントを決めて活用する
という歯科医師国家試験の対策を具体的に解説します。
3-1:時間配分を把握する
これから国試の対策を始めるというあなたには、歯科医師国家試験に合格するために「時間配分」と「配点」を意識することからはじめていただきたいです。
これまでは、これらについて意識してこなかったかもしれません。しかし、毎年実に多くの歯科国試受験生が、
「見直しする時間がなかった…」
「〇〇に時間を取られすぎてしまった…」
と、国試終了後に後悔の念に駆られているのです。
そこでまずは、「時間配分」から説明します。
繰り返しになりますが、歯科医師国家試験は、1日目の午前にA問題、午後にB問題、2日目の午前にC問題、午後にD問題が行われ、それぞれ2時間15分ずつ合計9時間です。
2時間15分のそれぞれの試験時間の中では、
- 必修問題:20問
- 一般問題:45問
- 臨床実地問題:25問
の90問が出題されます。
最後の10分を解けなかった問題やケアレスミスの見直し、マークチェックの時間に充てるとすると、残りは2時間5分(7,500秒)となります。
そのため少なくとも、
- 必修問題と一般問題は1問当たり60秒
- 臨床実地問題は1問当たり約2分30秒(150秒)
のペースで解いていく必要があります。
しかも本番はプレッシャーもかかるため、普段からこれ以上のペースで解く練習をしていなければなりません。
3-2:配点を意識する
「配点」については、1問3点の配点である臨床実地問題を1問落とすことは、1問1点である必修・一般を3問落とすこととイコールということを意識しましょう。
意外と試験本番では、臨床実地問題の見直しを後回しにしてしまった結果、3点を落としてしまうことが起こりえます。
また、特に第116回以降は必修問題に「X2タイプ(選択肢の中から2つ選べ)」が採用されることから、過去問ではあまり意識することのなかった必修問題の見直しに時間が取られる可能性があります。
そのため、あらためて「配点」を意識し、どの問題から見直していくか考えておきましょう。
3-3:まずは得意科目を勉強して苦手科目をカバーする
あなたは「苦手科目をなんとかして克服したい」という焦りをお持ちかもしれません。
しかし、そんな方にお伝えしたいのが、まずは得意科目を優先的に勉強して、得点力の向上と科目間の横断的な知識を身につけることです。
これから歯科医師国家試験の対策を進める場合、まずは科目間で共通する知識の理解を深めていくことが重要です。
そこで、まず勉強に対する抵抗が少ない得意科目から、科目間の横断的な知識を意識した勉強をしていくことで、のちに苦手科目に取り組んだ際に、すんなりと理解しやすくなる可能性が高まります。
3-4:模試結果は見るべきポイントを決めて活用する
模試を受けるに当たって、皆が受けるからなんとなく受けるのではなく、模試を受ける目的を明確にしながら受けましょう。
- 苦手科目の確認
- 時間配分
- 今の勉強量でどれくらいの点数が取れるかの確認
など利用できる情報がたくさんあるはずです。
また、模試は解きっぱなしにして終わりにしてはいけません。
模試の結果を活用することが大事です。
そこでこれから、模試結果で見るべきポイントと、そうでないポイントを説明します。
実際にあなたが模試を受ける際や、模試結果が手元に届いた際にはぜひ参考にしてください。
3-4-1:領域別・科目別の全国平均と比較する
歯科医師国家試験の領域A・Bは、相対基準が採用されています。
そのため、自分の相対的な立ち位置を把握するのに活用しましょう。
まずは、領域別・科目別の全国平均と自分の得点率を比較し、自分の苦手分野と相対的な位置を把握することに努めましょう。
3-4-2:正答率が80%以上の問題の復習
全国平均正答率が高い問題(易問)の内、自分が落としてしまった問題については、今後は落とさないように必ず復習しましょう。
正答率80%以上をひとつの基準として、優先順位付けを行いながら復習に取り組むことが大事です。
3-4-3:ケアレスミスの発生箇所・原因の特定
重複マークや未記入、マーキング不良が起きている場合は、本番でも同じケアレスミスをしてしまう可能性があります。
見直してそういう箇所があれば、必ず再発防止策を考えてください。
3-4-4:模試解説書の活用
各問題の正解・不正解だけでなく、各選択肢の解説を読んで、知識がどれくらい定着しているかを把握しましょう。
また解説書の付録でその周辺知識も合わせて復習しておくことも重要です。
このように、模試結果は見るべきポイントを決めた上で自分の立ち位置を確認し、復習の材料として有効活用していくことで、今後の戦略に繋がりますので、以上のポイントをぜひ参考にしてください。
3-5:過去問の正しい使い方
受験時の1年間で、過去問を3周解くことをおすすめします。
1周目はよく出てくる言葉に意識して出やすい箇所、大切な箇所をチェックしてください。
2周目は出やすいところを丁寧に仕上げることが大事です。
例えば正答以外の誤答選択肢にもしっかりと焦点を当て、熟考してください。
3周目は周辺知識を丁寧に広げることが大事です。
目的をもって過去問を解いてください。
まとめ:歯科医師国家試験のA問題の特徴はプロに聞くのがおすすめ
この記事では、まずA問題について下記のように説明しました。
- 歯科医師国家試験のA問題とは、1日目の午前に行われる問題のこと
- A問題と混同されやすい「領域A」「領域B」とは、総論=領域A、各論=領域Bということ
- A問題とB、C、D問題で出題傾向が違うわけではない
また、歯科医師国家試験の構成について、下記のように解説しました。
- 必修問題 80問:各1点(計80点)
- 一般問題(総論)100問:各1点 (計100点)
- 一般問題(各論) 80問:各1点 (計80点)
- 臨床実地問題 100問 :各3点 (計300点)
合計 360問 計560点
A問題を含む歯科医師国家試験の対策として、下記のポイントを紹介しました。
- 時間配分を意識する
- 配点を意識する
- まずは得意科目を勉強して苦手科目をカバーする
- 模試結果は見るべきポイントを決めて活用する
歯科医師国家試験は、合格率が低く難しい試験です。
そのため、試験対策は最新の情報も踏まえて、しっかり行うことが大事です。
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