【対策法あり】歯科医師国家試験の不合格者数が多い理由と3つの受験対策
- 公開日:2024.06.11
- 更新日:2024.06.11
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あなたは、
- 歯科医師国家試験の不合格者数は何人くらいだろう?
- 歯科医師国家試験で不合格者数が多いのはなぜだろう?
などの疑問をお持ちではありませんか?
歯学部生であれば、国試の不合格者数は多いと耳にして「不安だな」「一発で合格したいな」という思いを抱かれると思います。
確かに歯科医師国家試験は、他の国家試験と比べても不合格者数が多く、受かる難易度が高い試験といえます。
しかし、ご安心ください。
しっかり対策すれば、十分に合格するだけの実力をつけることはできるのです。
そこでこの記事では、
- 歯科医師国家試験の不合格者数について
- 不合格者数が多い理由
- 国試に合格するための対策
について詳しく解説します。
知りたいところから読んで、これからの国試対策の参考にしてください。
1章:歯科医師国家試験の不合格者数
それではさっそく、歯科医師国家試験の不合格者数をデータから確認しましょう。
1-1:歯科医師国家試験の不合格者数と合格率
歯科医師国家試験の、近年の不合格者数は、年に1100人前後でほぼ一定になっています。
下記の図をご覧ください。
このように、歯科医師国家試験は毎年、3100人前後が受験し、2000人前後が合格し、1100人前後が不合格になる試験であることが分かります。
この人数は、近年ではほぼ一定で変わらないのです。
そのため、合格率も63%~65%で推移しており、これも変わりありません。
約3人に1人が不合格になる国家試験であるといえます。
1-2:歯科医師国家試験の不合格者数の推移
歯科医師国家試験は、数十年前までは合格率が約90%で、現在より受かりやすい試験でした。
平成15年の第96回試験では、
- 合格率が91.4%
- 合格者は2,932人
- 受験者は3,208人
- 不合格者は276人
という結果が出ています。
不合格者数が現在よりはるかに少なかったのです。
しかし、これ以降は合格率が70%台になり、第101回(平成20年)以降は、合格率が60%台へと下がっていきました。
こうして、現在にかけて徐々に合格率が下がり不合格者数が増えてきたのです。
このような傾向から、最近の歯科医師国家試験は「合格者数が一定に抑えられている選抜試験だ」と指摘されることもあります。
下記の記事も参考にしてください。
【歯科医師国家試験は選抜試験?】その理由と一発合格への4つの対策
そこで次に、このように歯科医師国家試験の不合格者数が増えている原因を解説します。
2章:歯科医師国家試験で不合格者数が多い理由
歯科医師国家試験で不合格者数が多いのは、
- 歯科医師数の抑制政策
- 歯科医師国家試験が難化しているため
という理由があります。
順番に説明します。
2-1:歯科医師数の抑制政策
そもそも、歯科医師国家試験の不合格者数が増えている背景には、歯科医師数を政府が抑制しているという理由があります。
歯科医師を取り巻く問題の背景には、大きくは下記のような過程があります。
歯科医師が増えすぎたきっかけは、昭和40年代~50年代の社会背景にありました。
当時、歯科医師不足が叫ばれ、歯科医師を増やす政策が採られたため、歯学部、歯科大学が4倍近くも新設され、多くの歯科医師が誕生したのです。
この背景から、歯科医師が増えすぎ、
- 貧困歯科医
- 歯科医の質の低下
- 過剰診療
という問題が出てきました。
そこで、政府は、昭和62年に削減計画を策定し、平成18年には、歯科医師数の養成数の削減に関する確認書が文部科学省、厚生労働省より提出されています。
その中では歯科医師数の削減をするために
- 歯科医師国家試験の合格基準の引き上げ
- 歯学部の入学定員の削減
主に上記の二つの政策が取られました。
厚生労働省の対応として(主に国家試験)、歯科医師国家試験については新規参入歯科医師の質を確保する観点から見直しが必要とされ、新しい出題基準、合格基準がたびたび設けられています。
文部科学省の対応としては(主に入学定員)、優れた入学者の確保の観点から、定員削減を大学に要請することになりました。
国家試験の合格率の低迷している大学や留年が多い大学、入学者の確保が困難な大学、臨床実習に必要な患者数の確保が困難な大学に入学定員の見直しを検討するよう提言がなされました。
このような経緯から、歯科医師国家試験の不合格者数は増えているのです。
2-2:歯科医師国家試験が難化しているため
2-1で解説した背景から、歯科医師国家試験の内容も難しくなっています。
たとえば、歯科医師に対する社会的なニーズの変化に応じて、下記のような出題範囲の変化がありました。
- 高齢化等による疾病構造の変化に伴う歯科診療の変化に関する内容
- 地域包括ケアシステムの推進や多職種連携等に関する内容
- 口腔機能の維持向上や摂食機能障害への歯科診療に関する内容
- 医療安全やショック時の対応、職業倫理等に関する内容
平成28年に、上記4項目の充実を図ると発表され、これらの項目については、第116回以降も引き続き重要な知識および技能として出題されることになっています。
さらに、
- 歯科医師として必要な、和漢薬を服用する高齢者や全身疾患を持つ者等への対応に関する内容
- 医療のグローバル化に伴い、歯科医師による国際貢献がこれまで以上に求められている現状を踏まえた国際保健に関する内容
についても、第116回の歯科医師国家試験の出題範囲として追加されています。
また、歯科医師国家試験の出題基準は4~5年に1度改訂が行われており、近年では、第107回、第111回、第116回で改訂されています。
そのため、次は第119回、120回あたりで改訂されると予測できます。
出題基準について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
今後はさらに歯科医師国家試験が難化し、不合格者数が増える可能性もあります。
そのため、真剣に合格を目指す方は、これから解説するような対策を行うことをおすすめします。
3章:歯科医師国家試験で合格するための対策
歯科医師国家試験で合格するには、下記のポイントを押さえた対策が重要です。
- 効率的な勉強法を考える
- 模試や大学の成績などの指標のフル活用する
- 歯科医師国家試験のプロからアドバイスを受ける
順番に解説します。
3-1:効率的な勉強法を考える
歯科医師国家試験に合格するには、効率的な勉強法を考えて取り入れることが必須です。
なぜなら、歯科医師国家試験は合格率が低い上に、試験の範囲が膨大で、丸暗記することは現実的ではないためです。
そのため、下記のような方法で効率的に勉強することをおすすめします。
3-1-1:適切なテキストを選ぶ
① 過去問解説書:過去問の問題集と解説がセットになったものを使い、これをメインのテキストとして使用しましょう。
② 科目別の参考書:科目ごとにフォーカスしてイラストや図などを用いた解説がされているテキストを使いましょう。
特に、基礎が完全に抜けているという場合は、まずはこのテキストで一から勉強しましょう。
③ 過去10年分ほどの過去問(厚労省のHP上でPDFが公開されています):常に本番を意識した勉強をしていくために使います。
①の過去問を中心とした勉強を進めていくと、どうしても科目ごとの勉強に偏りがちになります。
しかし、実際の国家試験では各科目がランダム形式で出題されます。
そのため、定期的に過去問を年度ごとに解くことで、自分が国試本番でどれだけ通用するのかを確認してみましょう。
テキストについて、下記の記事もご覧ください。
【歯科医師国家試験】効率的な勉強法、科目・分野別のおすすめ勉強法
3-1-2:予備校や個別指導塾を活用する
国試の受験生は、必要に応じて予備校・塾に通うことをおすすめします。
なぜなら、受験勉強で一番大切な「必ず出題されるコアな知識」がどこかを把握するためには、受験のプロから教えてもらうことが最も早いからです。
あなたに合った予備校・塾を選ぶ際には、以下の判断軸から総合的に検討することをおすすめします。
- 模試の順位
- 現役or浪人回数
- 時期・入塾タイミング
- 予備校・塾や講師との相性
これらの判断軸から見た最適な予備校・塾の選び方は、こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひ一度読んでみてください。
【歯科医師国家試験】大手・中堅予備校と個別指導塾の違い、適切な選び方
3-1-3:国試本番を意識した勉強をする
受験勉強のゴールは、国家試験本番で初見の問題に対して、自分の持てる知識と思考力を総動員して、問題を解いていくところにあります。
したがって、最終的に合格を左右するのは「インプット力」ではなく「アウトプット力」です。
そのため、効率的に勉強するためには、アウトプット力を意識した方法を取り入れることが大事です。
具体的には、下記の記事をご覧ください。
【歯科医師国家試験】効率的な勉強法、科目・分野別のおすすめ勉強法
3-2:模試や大学の成績などの指標のフル活用する
歯科医師国家試験で合格するためには、模試や大学の成績などの指標を活用することも大事です。
3-2-1:解いた後に分析すること
模試や大学の試験は、初見の問題を時間内に解く練習として、また実際に本番さながらの雰囲気の中で問題を解く練習としてとても良い機会です。
しかし、模試の結果表や大学の成績表を見て「なんとなく自分の得意分野、苦手分野が把握できた気になっている人」は要注意です。
なぜなら、それだけでは正確な分析になっていないためです。
大事なのは、模試当日を思い出しながら、
- 正解した問題を本当に理解して解いたか
- それとも、偶然解けただけだったか
を自問自答しながら分析することです。
このように、合格基準までレベルを上げるためには、「模試や大学の試験結果」から得られる情報を余すことなく活用することが求められるのです。
3-2-2:模試の結果で活用すべきポイント
一例として、模試の結果で活用すべきポイントには、主に以下のものがあります。
- 領域別・科目別の全国平均と自分の成績との比較
- 全国平均正答率が80%以上の問題の復習
- ケアレスミスの発生箇所・原因の特定
- 模試解説書の活用
領域A・Bは、相対基準が採用されているので、自分の相対的な立ち位置を把握することが重要です。
また、全国平均正答率が高い問題(容易な問題)を落としていた場合には、今後は落とさないように必ず復習することが大切です。
さらに、重複マークや未記入、マーキング不良が起きている場合は、本番で同じミスをしないように、再発防止策を考えてください。
また、模試解説書は必ず読み込んでください。
そうすることで、各問題の正解・不正解だけでなく各選択肢の解説を読んで、知識がどれくらい定着しているかを把握できます。
3-2-3:模試の成績で重視しなくていいポイント
一方で、下記のポイントは、模試の成績であまり気にしない方がいいです。
- 全国順位・学内順位
- 必修問題の全国平均正答率
全国順位や学内順位は、真っ先に気になってしまう項目だと思います。
特に早い段階の全国模試は、受験者数が少なく正確な順位は分からないため、順位で一喜一憂することは全くの無意味です。
ただし、歯科国試直前模試の全国順位は参考になるかもしれません。
2章で説明したように、歯科医師数を制限するという国の方針により、今後はさらに歯科医師国家試験の合格者数が削減される可能性があります。
したがって、第117回の受験生や来年以降の受験に挑む歯学部生は、模試の全国順位1,500番以内を安定して狙えるように、計画的な勉強を行う必要があります。
基礎科目を中心に勉強してきた人は、どうしても必修問題の結果が気になってしまう傾向があります。
しかし、絶対基準が採用されている必修問題の全国平均正答率は、あまり良い判断材料にはなりません。
順位や正答率よりも、まずは問題と各選択肢の復習に重点を置きましょう。
このように、模試や大学の試験結果は、見るべきポイントを決めた上で自分の立ち位置を確認し、復習の材料として有効活用しましょう。
3-3:歯科医師国家試験のプロからアドバイスを受ける
歯科医師国家試験に真剣に合格したいなら、国試のプロからアドバイスを受けることも大事です。
なぜなら、歯科医師国家試験に一発で合格するには「自分に何が足りていないか」を把握できることが大事であり、そのためにはプロから客観的なアドバイスを受けることが必要だからです。
自分に足りてない部分を自分で把握しようとしても、
- 時間がかかる
- 自分のことを客観視できない
- 迷いが生じて本当に必要なことが明確にならない
といった問題があります。
そのため、国試に関する知識や経験が豊富で、客観視してもらえる、身近な大学の先生や先輩、予備校の講師などの第三者を頼ることをおすすめします。
このような方が身近にいれば「どのような考え方や姿勢を持って受験生活を過ごしていたか」を聞いて、取り入れてみましょう。
もしあなたの身近にそのような人がいなければ、当サイトを運営する【60日合格塾】に相談してみてください。
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まとめ:歯科医師国家試験で不合格にならないためには対策が必須
歯科医師国家試験の不合格者数の多さやその理由、対策について参考になったでしょうか?
最後にこの記事の内容をまとめます。
歯科医師国家試験の不合格者数は、下記の通りです。
- 不合格者数が毎年1100人前後
- 現在にかけて徐々に合格率が下がり、不合格者数が増えてきた
不合格者数が増えた理由には下記のものがあります。
- 歯科医師数の抑制政策
- 歯科医師国家試験が難化しているため
歯科医師国家試験に合格する具体的な対策は、下記の3点です。
- 効率的な勉強法を考える
- 模試や大学の成績などの指標のフル活用する
- 歯科医師国家試験のプロからアドバイスを受ける
今回の記事では、歯科医師国家試験の不合格者数と合格するための対策方法についてお伝えしました。
もしあなたが、
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