【歯科医師国家試験の科目とは】国試の全体像を理解して対策を練る方法
- 公開日:2024.07.12
- 更新日:2024.07.15
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歯科医師国家試験対策を考えている歯学部生のあなたは、
- 歯科医師国家試験の科目は何があるのか
- 歯科医師国家試験の出題傾向が知りたい
- 合格基準を知りたい
と思っていませんか。
厚生労働省のホームページの「歯科医師国家試験出題基準」を読んでも、難しい内容ばかりで理解できませんよね。
歯科医師国家試験の合格基準については複数設けられており、単純に〇点以上取れば合格といった試験ではありません。
歯科医師国家試験対策の勉強は、対象範囲が広く、テキストの隅々を地道に覚えていく方法では時間が足りなく効率的ではありません。
まずは、歯科医師国家試験の全体構成と合格基準を理解した上で、勉強計画を立て効率的に勉強する必要があります。
この記事では、
- 1章で、歯科医師国家試験の科目とは
- 2章で、歯科医師国家試験の全体像と合格基準
について解説します。
この記事を読めば、歯科医師国家試験の対象範囲の科目や全体構成、合格基準が分かり、効率的な勉強計画が立てやすくなります。
ぜひこの記事を読んで、自分に合った勉強計画を立て、歯科医師国家試験に絶対に合格しましょう。
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目次
1章:歯科医師国家試験の科目とは
この章では、歯科医師国家試験対策を始めたばかりで全体像がよく分からない方でも理解できるように、以下の順番で説明していきます。
- 試験科目の一覧
- 歯科医師国家試験の全体構成
もし既に知っている内容であれば、次章にすすんでもかまいません。
1-1:試験科目の一覧
歯科医師国家試験は、歯科医師法第9条に基づいて、「臨床上必要な歯科医学および口腔衛生に関して、歯科医師として具有すべき知識および技能について」行われます。
歯科医師として具有すべき知識と技能を具体的な項目によって示した「歯科医師国家試験出題基準(ガイドライン)」があり、各項目の出題割合を示した「歯科医師国家試験設計表(ブループリント)」が存在します。
下表がブループリントです。
歯科医師国家試験の出題範囲と項目、出題割合が決まっています。
これから、どの科目を優先的に時間をかけて勉強すべきかが分かります。
1-2:歯科医師国家試験の全体構成
第116回以降の歯科医師国家試験問題の全体構成は、下表になります。
大きく分けると、
- 必修問題
- 一般問題
- 臨床実地問題
の3つで構成され、全360問、560点満点です。
以下に試験区分と試験時間を示します。
歯科医師国家試験は2日間行われ、午前、午後に分けられています。
1日目の午前がA問題、午後がB問題、2日目の午前がC問題、午後がD問題という構成になっています。
A~D問題とは、具体的な試験問題ではなく、試験の実施される時間区分であるとご理解ください。
A~D問題は各90問で、必修問題、一般問題、臨床実地問題からランダムに出題されます。
ここまでの説明で、歯科医師国家試験の全体構成と出題範囲をご理解いただけたと思います。
当サイト「歯科国試.com」では、第113回から第116回までの歯科医師国家試験の過去問を、試験年と科目別に整理しています。
すぐに確認したい方は、こちらからご覧ください。
歯科医師国家試験の過去問は、厚生労働省のサイトでも確認できますが、「特定の問題をすぐに確認したい」場合は使いにくい状態です。
当サイトでは、過去問を年度やジャンル、正答率で整理していますので、ご活用ください。
次章では、合格基準について詳しく解説していきます。
2章:歯科医師国家試験の全体像と合格基準
1章では、歯科医師国家試験の全体像を説明しました。
2章では、歯科医師国家試験の詳しい構成と合格基準について詳しく解説します。
合格基準を理解すると、どの科目を重点的に力を入れて勉強すべきかが分かり、効率の良い勉強計画が立てられます。
2-1:歯科医師国家試験の全体の構成
ここでは歯科医師国家試験の全体の構成について、詳しく説明していきます。
1章の1-2で説明しましたが、A問題とは試験の実施される時間区分であり、A問題への対策というものはありません。
必修問題、一般問題、臨床実地問題が、A~D問題それぞれの中で出題されます。
A~D問題は、各90問で内訳は、
- 必修問題:20問
- 一般問題:45問
- 臨床実地問題:25問
で構成されています。
■必修問題
歯科医師国家試験制度における必修とは、歯科医師として必須の基本的な知識を問うものを必修と定義していいます。
唯一絶対範囲が決められていて、過去問と似ている問題が出題されやすい傾向にあります。
他の一般問題と臨床実地問題に比べて対策しやすいといえます。
問題形式は、
- Aタイプ:選択肢の中から1つ選べ
- X2タイプ:選択肢の中から2つ選べ
が採用されています。
※X2タイプは第116回より採用
必修問題は単純な知識のみで解答できる問題が多く、過去問の似た問題や基礎知識に対しての暗記力や瞬発力が問われます。
しかし、中には単純な暗記力だけでは即答できない問題や見慣れない問題も含まれていますので、論理的思考力によって答えを導きだすことも必要です。
必修問題対策としては、過去に出題された問題は次年度以降に詳しく聞かれる可能性があるので、過去問の解答を暗記するだけではなく正答選択肢の深堀りや誤答選択肢のチェックなどが効果的です。
■一般問題
「一般問題」とは、性別・年齢などの条件提示がなく、疾患や病態などの与えられたテーマについての知識を問う問題を指します。
一般問題には「総論」と「各論」があり、この範囲から疾患の基礎的な知識を問う問題が満遍なく出題されます。
- 総論(領域A):「総論」とは、「歯科医学総論」に該当する範囲のことを指し、総論を扱う問題は全問題数のうちおよそ30%を占めています。
- 各論(領域B):「各論」とは、具体的な科目・分野に特化、かつ発展的な内容が含まれた範囲のことを指します。
一般問題で問われる知識の理解が浅い状態では、臨床実地問題の得点力に大きく影響してきますので、過去問を中心にしっかりとした対策が必要です。
■臨床実地問題
「臨床実地問題」とは、患者の性別や年齢、実際の症例などの具体的な条件提示に対して、臨床実習で培った問題解決能力や思考力を問う問題を指します。
臨床実地問題には1問3点の高配点が与えられていることから歯科医師国家試験では、実際の臨床で遭遇する可能性の高い問題に対処できる歯科医師を選抜するための試験ともいえます。
勘やなんとなくではなく、きちんと根拠をもって正答を導きだせるよう勉強することが大切です。
基本的に、問題文の正しい解釈ができていれば選択肢の優先順位をつけられるようになり、良い点数が取れるようになるでしょう。
余談ですが、現代の歯科医療の現場では、高性能な医療機器の活用で、治療の質が歯科医師の腕に依存しなくなってきています。
現代の歯科医師に本当に求められる能力は、患者当人の訴えや自分の目や耳で得た情報から疾患を診断し、適切な治療方針の提示ができることです。
この能力を短い試験時間内で見極めるための問題が、臨床実地問題です。
基礎的事項を確実に抑えた上で論理的思考力を養い、一見ひねられた問題にも対応できるような対策が必要となります。
- 領域A、Bなどの解説
歯科医師国家試験制度では、総論を領域A、各論を領域Bとし、出題上の区分を表しています。
1章の1-1に掲載したブループリントでは「歯科医学総論」=「領域A」、「歯科医学各論」=領域Bとなります。
2-2:歯科医師国家試験の合格基準
ここでは、歯科医師国家試験の合格基準について詳しく解説していきます。
歯科医師国家試験の合格基準は、
- 100点中〇〇点取れば合格、という試験ではない
- 必修問題は80%以上の正答率:領域A(総論)・領域B(各論)は、それぞれの平均点と標準偏差を用いて設けられた基準点以上の得点
となっています。
歯科医師国家試験の合格基準は、
- 絶対基準
- 相対基準
の2つがあり、両方満たすことで歯科医師国家試験合格となります。
必修問題の合格基準は「80%以上の正答率」という絶対基準が用いられています。
領域A(総論)と領域B(各論)の合格基準は相対基準が用いられ、平均点と標準偏差より算出されます。
標準偏差とはバラツキをみる指標で、平均点付近に固まっているのか、幅広くばらついているのかをみる指標です。
試験実施後に、合格者が設定した人数になる点数を平均点と標準偏差を用いて算出します。
そのため、試験の難易度により変動するため、年度ごとに合格基準が変わります。
領域A(総論)・領域B(各論)で高得点であっても、必修問題を80%以上得点しなければ不合格になります。
まずは、必修問題を確実に80%以上取れるように勉強しましょう。
最新の第117回歯科医師国家試験の合格基準は、
- 必修問題:64点以上/80点
- 領域A(総論):60点以上/94点
- 領域B(各論):254点以上/379点
でした。
歯科医師国家試験は、2つの合格基準が用いられていることが特徴です。
このような合格基準を用いている理由は、勘でマークしてたまたま正解し合格基準を満たすことを避け、真に歯科医師としての知識および技能を有する受験生を選別するためです。
- 総論・各論・領域などについて
ここでは、意味が混同しやすい「総論・各論・領域」を説明します。
「総論」とは、「歯科医学総論」に該当する範囲のことを指し、総論を扱う問題は全問題数のうちおよそ30%を占めています。
総論の構成としては、総論Ⅰ~Ⅷの8つになります。
詳しくは、1章の1-1に掲載したブループリントを確認ください。
「総論」は細分化して理解する必要はあまりなく、全科目の中から「必修の基本的事項」を土台として構成される、歯科医師として必要な専門的・臨床的知識および技能を問う問題、と捉えておきましょう。
一方で「各論」とは、具体的な科目・分野に特化、かつ発展的な内容が含まれた範囲のことを指します。
各論の構成としては、各論Ⅰ~Ⅴの5つになります。
詳しくは、1章の1-1に掲載したブループリントを確認ください。
一般的に「臨床系科目」と呼ばれる
- 小児歯科学
- 歯科矯正学
- 歯科保存学3科
- 口腔外科3科
- 歯科補綴学
- 高齢者歯科学
を中心とした、より臨床に近い科目が各論の大部分を構成しています。
最後に「領域」とは、上記の「総論・各論」のように学問系統を表した用語ではなく、単なる国家試験制度における出題上の区分を表す単語です。
第116回からは、総論=領域A、各論=領域Bとシンプルな区分に変更されました。
2-3:歯科医師国家試験の各問題の配点
歯科医師国家試験の問題の配点は、
- 必修問題 80問 各1点 計80点
- 一般問題 180問 各1点 計180点
- 臨床実地問題 100問 各3点
合計360問 計560点
となります。
これらを合格基準の各領域別でみると次の表のとおりです
必修問題と一般問題は1問1点に対して、領域Bの臨床実地問題は1問3点と高得点です。
領域Bの一般問題が全問解けたとしても、配点の大きい臨床実地問題を多く落としてしまった場合は、合格基準達成が難しくなるため注意が必要です。
「配点」を意識し、どの問題から取り掛かり、見直ししていくか考えておきましょう。
2-4:出題基準
歯科医師国家試験の試験問題は、社会的背景などを踏まえて4~5年に1度定期的に改訂されています。
出題基準が改訂される場合、改訂される具体的な出題基準は試験の約10ヶ月前に公表されます。
もし、自分の受ける試験が改訂年度にあたった場合は、これまでの過去問だけでなく新しい出題基準に合わせた対策をしっかりと練った上で1年間勉強していく必要があります。
改訂年度にあたった場合、ブループリントをよく読んで出題割合を知っておくことも大事です。
ちなみに、第116回試験では、
- 和漢薬を服用する高齢者や全身疾患を持つ者等への対応
- 医療のグローバル化に伴う国際保健
についての出題内容が追加されることが公表されました。
今後の出題基準の改訂の方向性としては、今回の改訂で和漢薬や全身疾患といった歯科領域に限らない医科領域からの出題が増えたことのように、今後はより高度な医科歯科連携の知識を問う出題が増えていくと予想されます。
最後に「60日合格塾」の紹介です。
今回の記事では、歯科医師国家試験の科目と全体構成についてお伝えしました。
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まとめ:歯科医師国家試験の科目数は多いので効率よく勉強しよう。
最後に、この記事でお伝えした内容をまとめます。
- 歯科医師国家試験は、歯科医師国家試験設計表(ブループリント)があり、出題範囲科目と出題割合が決まっている。
- 歯科医師国家試験の全体構成は、必修問題、一般問題、臨床実地問題の3つからなる。
- A~D問題は、試験が実施される時間区分のことである。
- 領域A=総論、領域B=各論
歯科医師国家試験の合格基準は、
- 必修問題:正答率80%以上(絶対基準)
- 領域A・B:平均点と標準偏差で算出された基準点以上(相対基準)
の両方を満足する必要がある。
歯科医師国家試験問題の配点は、
- 必修問題 80問 各1点 計80点
- 一般問題 180問 各1点 計180点
- 臨床実地問題 100問 各3点
合計360問 計560点
- 出題基準は、4~5年に1度改訂され、試験日の約10か月前に公表される。
- 和漢薬や全身疾患といった歯科領域に限らない医科領域や、より高度な医科歯科連携の知識を問う出題が増えていく。
この記事を参考に歯科医師国家試験の科目について理解し、合格に向けて効率よく勉強していきましょう!
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