【要確認】歯学部の実習期間の流れと有意義な過ごし方の5つのポイント

  • 公開日:2024.11.01
  • 更新日:2024.11.01
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【要確認】歯学部の実習期間の流れと有意義な過ごし方の5つのポイント
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歯学部の実習期間とは

あなたは、

  • 歯学部の実習期間は何をするのだろう?
  • 実習期間の過ごし方や注意点はあるのかな?

などの疑問をお持ちではありませんか?

歯学部の実習期間は、大学によって異なりますが、一般的には5年~6年次に行われます。

臨床実習は、卒業後に歯科医師として臨床で活躍できるように技術や経験を積む大事な期間ですので、真剣に学ばなければなりません。

しかし、歯学部生からすると「大変だった」「忙しかった」と耳にすることも多く、実習期間に入る前には不安になることもあると思います。

そこでこの記事では、

  • 歯学部の実習期間の流れ
  • 実習期間を有意義に過ごすポイント

について詳しく解説します。

この記事を参考に、よりよい過ごし方ができるように工夫してみてください。

1章:歯学部の実習期間の流れ

歯学部では、臨床実習を必ず受講しなければなりません。

臨床実習によって、臨床で必要とされる技術や診断方法を学ぶとともに、必要な経験を積み、コミュニケーション能力も培うことができるためです。

臨床実習の期間は大学によって異なりますが、おおむね5年次から6年次にわたって行われます。

ここではまずは、実習期間の流れから簡単に解説します。

1-1:臨床実習前に行われる共用試験

まず、実習期間が始まる前には共用試験が行われます。

共用試験とは、全歯学部生が受けなければならない全国統一の試験で、臨床実習の前後に行われます。

共用試験には、以下の2つがあります。

  • CBT(Computer Based Testing):PCでの選択問題などで知識を問う試験。
  • OSCE(Objective Structured Clinical Examination):模擬の患者やマネキン、シミュレータを利用して臨床的な能力を問う試験。

これらに受からないと、臨床実習に進むことができません。

合格すると、本格的に実習期間に入っていきます。

共用試験について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

歯学部のCBTってどんな試験?合格率や効果的な対策を解説!

【歯学部生必見!】オスキー(OSCE)の試験内容・合格基準と効率的な対策法

1-2:臨床実習

5年次~6年次にかけて、本格的な実習期間に入ります。

臨床実習は、学生が歯科医師になる上で必要な知識、技術、態度などを身につけるための重要な課程です。

実習内容は大学によって多少異なりますが、一般的には以下のようなことが行われます。

  • 医療面接
  • 診察
  • 検査
  • 診断
  • 治療計画の立案
  • 治療行為
  • 患者指導
  • 歯科技工

これらの技術を、さまざまな科をローテーションで経験しながら身につけていくのが一般的です。

大学によっては、早い時期から臨床のイメージがつくように、1年~3年次で早期臨床実習を行う場合もあるようです。

ただし、このような場合でも、やはり本格的な臨床実習は5年次以降で行われます。

1-3:臨床実習後に行われる共用試験

実習期間の最後や終わった後には、再び共用試験が行われます。

この共用試験は、臨床実習で必要な技術や知識が身につけられたかをチェックする目的で行われます。

臨床実地試験(CPX)と一斉技能試験(CSX)の2つの試験から構成され、実施期間は、臨床実習終了4ヶ月前から終了2ヶ月後までの間とされており、実際の時期は大学によって異なります。

実習期間後の共用試験について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

「歯学部 共用試験」

この共用試験に合格することで、実習期間は完了といえます。

そして、それ以降は本格的な国家試験対策へと入っていくことになります。

ここまで実習期間の流れについて簡単に説明しましたが、実習を有意義に過ごすためには、その目的をよく理解しておくことが大事です。

そこでこれから、臨床実習の目的を詳しく解説します。

2章:臨床実習の目的

臨床実習は学生という立場で指導医の元、患者さんの診療ができる貴重な期間です。

知識だけでは太刀打ちできないのが臨床の世界です。

実際に患者さんと対峙することによって、技術や対応力を養うことができます。

しかし、学生という身分は、患者さんの診療をさせていただく立場です。

学生とはいえ、患者さんの健康を任されている責任ある立場です。

失敗は許されません。

完璧な治療が最初からできる、と指導医も思っていませんが、患者さんのためにできる限りの努力・勉強・準備をする必要があります。

また、指導医も患者さんに不利益を被らせないために緊張感を持って指導にあたっています。

厳しく指導されるのは当然だ、という意識を持って臨床実習にのぞみましょう。

これから、臨床実習の目的が理解できるように、

  • 実習で許可されていること
  • 実習で身につけたい知識

について解説します。

2-1:臨床実習で許可されていること

実習期間は、当然ながら、歯科医師免許を持っていないため、全ての治療をすることは許されていません。

厚生労働省では学生が行える治療において以下のような条件を定めています。

「①患者同意の下に、②正当な目的のための③相当な手段でなされれば、無資格者の行為であっても、無資格行為、民事の不法行為、そして刑事の犯罪行為についての違法性が阻却されると解されている」

その上で、

「(ⅰ)侵襲性が相対的に小さいこと、(ⅱ)資格者の指導・監督の下に実施されていること、(ⅲ)学生の技術力の確保、(ⅳ)医療過誤対応の体制確立、(ⅴ)教育評価法」について最善の手段が採られていることとされている。

出典:厚生労働省HP 歯学生が臨床実習で行う歯科医業の範囲に関する検討会報告書

つまり患者さんの同意の元、指導医のもと、万全な準備をもって、例え過誤が起こってもリカバリーできる体制のもとで診療してもよい、とされています。

診療準備が大切だということがお分かりいただけたでしょうか。

問診一つ取っても、

  • 何を聞くべきか
  • 声かけは適切か
  • 失礼な聞き方になっていないか

など気に掛ける点がたくさんあることでしょう。

診療ならなおさらで、

  • 器具は何を使うのか
  • どこに器具はしまってあるのか
  • 診療の順番
  • もし予想と違っている病態だったらどうするか
  • 時間内に終わらせることができるか

など全てシミュレーションした上で、診療または見学にのぞまなければいけません。

2-2:臨床実習で身につけたい知識・技術

臨床実習で身につけたい知識・技術は以下のものです。

  • 教科書的な知識だけでなく、診療で実際に必要な知識を養う

患者さんへの問診、治療計画、技工指示書の書き方、診療録や書類の書き方、レセコンの使い方などを実際に見学・実践することができます。

  • コミュニケーションの取り方を学ぶ

歯科医師になってからコミュニケーションが必要なのは患者さんのみではありません。歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士、様々な職種の人に支えられて歯科医院は成り立っています。チーム医療だということを意識して働く必要があります。挨拶は基本です。一緒に働かせていただいているという気持ちをもって過ごしましょう。実習させていただく立場だということを忘れず、感謝の気持ちをもって実習しましょう。

  • 指導医の元で診療できる

ミスをしないように指導してもらえ、指導医からのフィードバックをもらうことによって技術の向上を図れます。また、治療に関してすぐに質問もできるため疑問を解決しやすいです。フォローしてくれる人がいながら診療できる期間は限られています。貴重な時間を有効に使ってください。

このように、実習生は自分の立場や役割、目的をしっかり理解した上で実習に臨むことが大事です。

さて、歯学部の実習期間の流れを簡単に説明しましたが、重要なのは実習期間を有意義に過ごすことです。

実習期間を有意義に過ごすポイントをこれから解説します。

3章:歯学部の実習期間を有意義に過ごすポイント

歯学部の実習期間は、

  • これまでに学んだ知識を、臨床と結びつけ定着させる
  • 実際に歯科医として働くための、技術や経験を身につける

といったことを行うための大事な期間です。

そのため、下記のポイントを押さえて有意義に過ごすことが大事です。

  • 現場でのコミュニケーションを大事にする
  • 学生同士の情報共有を積極的に行う
  • 失敗に怯えすぎない
  • 実習に目的意識を持つ
  • 実習の内容と国試対策をつなげる

順番に解説します。

3-1:現場でのコミュニケーションを大事にする

臨床実習の実習期間では、現場におけるコミュニケーションを大事にしましょう。

歯科医師になると、毎日、患者さんやスタッフとのコミュニケーションが必要です。

患者さんに対しては、

  • どういう悩みや症状を持っているのか
  • どのくらいつらい思いをしているのか
  • どうしてほしいのか、どうなりたいのか

などを正確にキャッチする必要があります。

また、

  • 患者さんのニーズを理解した上で治療計画を立て、専門家として提案し、患者さんに納得してもらう
  • 治療が苦手な人や、子どもを相手に診療、治療を行い、満足してもらう

といった必要もあるため、一定レベルのコミュニケーション能力は必須です。

さらに、歯科医師はスタッフとも円滑にコミュニケーションをとって、いい職場をつくる必要もあります。

このような臨床で毎日必要となる技術は、講義やテキストでの勉強では身に付きません。

そのため、臨床実習期間にしっかり意識して周りとコミュニケーションをとり、技術や経験を積むことが大事なのです。

具体的には、

  • 挨拶をしっかり行う
  • 報告、連絡、相談の徹底
  • フィードバックは真摯に受け止め、お礼をいう
  • 分からないことは、そのままにしない

などを意識的に行いましょう。

常識的なコミュニケーションの方法ではありますが、忙しいときや、他のことに気を取られているときなど、おろそかになりがちですので注意しましょう。

また、実習先の先生やスタッフが、どのような言葉を使って、どのようなタイミングでコミュニケーションをとっているか、しっかり見聞きして学ぶことも大事です。

3-2:学生同士の情報共有を積極的に行う

歯学部の実習期間は、忙しく自分のことでいっぱいになりがちです。

しかし、だからこそ学生同士で情報交換を積極的に行うことをおすすめします。

具体的には、

  • 学びになったこと
  • 疑問に思っていること
  • 知識として確認しておきたいこと
  • 実習期間中の悩み
  • 実習での学びと試験の知識の関連

など何でも構いません。

情報共有することで、自分だけでは気づけない視点からの学びがありますし、話すだけでもリフレッシュになるものです。

また、実習期間は予習復習や課題レポートの提出もあるため、それらの勉強で助け合うこともできます。

さらに、実習期間後には卒業試験や国家試験が控えていますので、この時期から勉強仲間を作っておくことは大事です。

3-3:失敗に怯えすぎないこと

実習期間では、初めて経験することがたくさんあると思います。

そのため、

  • 臨床実習への強い苦手意識
  • 現場での緊張や不安

を感じる方も多いと思います。

しかし、大事なのは失敗に怯えすぎないことです。

失敗に怯えすぎると、小さなミスに落ち込んだり、ちょっとしたコミュニケーションのズレで傷ついたりし、感情の波のせいで実習期間の学びの質が落ちてしまいます。

実習期間中に、初めての経験が多く緊張や不安でいっぱいになるのは、すべての学生に共通することです。

すでに歯科医師として活躍している先生方にも、そのような過去はあったのです。

そのため「みんな初めてのことで失敗するものなんだ」と考え、リラックスするようにしましょう。

また、実習期間にたくさん失敗しておけば、実際に卒業後に現場に出たときの失敗を減らすことができます。

失敗を恐れず、あなたの今後のためにも積極的に実習に取り組みましょう。

3-4:実習に目的意識を持つ

実習期間を有意義に過ごすためには、常に実習に目的意識を持って取り組むことも大事です。

目的意識とは「このために学んでいるんだ」という強い気持ちのことです。

このような気持ちを持ち続けていれば、

  • 学びの質を高められる
  • 大変な時期にもモチベーションが維持できる
  • 緊張や不安など、ネガティブな気持ちに負けなくなる

といったメリットがあります。

そのため、実習期間の前に「何のために実習に挑むのか」を考えて、目的を明確にしておくことをおすすめします。

たとえば、

  • 自分の理想とする歯科医師になって活躍するため
  • 多くの患者様やスタッフといい関係を作って仕事をするため
  • これまでに学んだ知識を臨床の経験と結びつけて深く理解するため

などです。

大事なのは、人からいわれたものではなく、自分自身でよく考えて納得できる目的を考えておくことです。

その上で、実習期間中はその目的を忘れずに日々を過ごすようにしましょう。

3-5:実習の内容と国試対策をつなげる

実習期間を有意義に過ごすためには、実習の内容と国試対策を意識的につなげることも大事です。

歯学部における6年間の学びは、すべて歯科医として一定以上のレベルの診療や治療ができるようになるためにあります。

そのため、いうまでもないことですが、歯学部での実習期間までの講義やテキストを中心とした学びも、臨床で使うためにあるものです。

しかし、現場から離れた学びは、臨床とうまく結びつけられない場合も多いです。

そこで知っておくべきなのは「臨床ではどういう知識が必要とされるか?」についてです。

ほとんどの歯学部生は、歯科医師国家試験に合格したら歯科医師になり、研究者の道に進む人はごくわずかです。

そのため、多くの歯学部生にとって必要となるのは、臨床の場で必要な本質的な知識です。

細かい原理原則などの「枝葉の知識」は、研究者には必要であっても臨床の場では必須ではありません。

基礎知識を確実に押さえている歯科医師を国は欲しているため、臨床と関連のある知識こそが試験に出題されやすいポイントです。

そのため、実習期間中は、これまで学んできた知識が、臨床ではどう必要とされるかを考えながら学ぶことが大事です。

ちなみに、当サイトを運営する「60日合格塾」のinstagramでは、臨床と国試の関連する知識を分かりやすく解説していますので、こちらもぜひご覧ください。

「60日合格塾」instagram

まとめ:実習期間は楽しんで乗り切る気持ちが大事

歯学部の実習期間の流れや過ごし方のポイントについて、理解できたでしょうか?

最後に今回の内容をまとめます。

歯学部の臨床実習の期間は、

  • 5年次から6年次に行われる
  • 前後で共用試験が行われる

というもので、歯科医師として働く上で必須の技術や経験を身につける貴重な期間です。

そのため、実習期間は下記のことに気をつけて過ごすことが大事です。

  • 現場でのコミュニケーションを大事にする
  • 学生同士の情報共有を積極的に行う
  • 失敗に怯えすぎないこと
  • 実習に目的意識を持つ
  • 実習の内容と国試対策をつなげる

当サイトには、他にも歯学部生としての学生生活の過ごし方について多くの記事を掲載しています。

ぜひ参考にしてみてください。

また、実習期間後には、歯科医師国家試験に向けた受験勉強が本格的に始まります。

国試に一発合格したい方、合格できるか不安な方は、当サイトを運営する「60日合格塾」の活用をご検討ください。

「60日合格塾」では、国試に関するお悩みの無料相談を行っております。

お気軽にご連絡ください。

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AUTHOR
著者紹介
著者 和気正和

歯科医師国家試験
60日合格塾・塾長
歯科医師 和氣正和

当メディア「歯科国試ドットコム」は、歯科医師国家試験の受験生が確実に合格できるように、受験生本人と親御様向けに情報提供するメディアです。

もしあなたが、歯科医師国家試験に対して不安を抱えている場合、ぜひ当メディアの記事を読んで知識やスキルを身に付け、合格に向けた正しい努力ができることを願っています。

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