【保存版】歯科医師国家試験の合格ラインと合格するための3つの対策
- 公開日:2024.05.31
- 更新日:2024.05.31
- 102 views
あなたは、
- 歯科医師国家試験の合格ラインが知りたい
- 合格ラインを知った上で効率的に勉強したい
などの悩み、疑問をお持ちではありませんか?
歯科医師国家試験は合格率が低いため「合格ラインを知って自分の合格レベルを上げたい」と思っている歯学部生・浪人生は多いと思います。
結論からいえば、歯科医師国家試験の合格ラインは、
- 必修問題では全80問の正答率が80%以上(絶対基準)
- 領域A(総論)、B(各論)では基準点以上の得点(相対基準)
という2つの基準から決まっています。
そのため、これらの基準を詳しく知っておくことで、国試対策をより効率的に進められます。
そこでこの記事では、
- 歯科医師国家試験の合格ラインについて
- 合格ラインの今後の予測
- 合格ラインを超えるための勉強法
について詳しく解説します。
ぜひこれを読んで、今後の国試対策に活用してください。
1章:歯科医師国家試験の合格ラインとは
それではさっそく、歯科医師国家試験の合格ラインについて解説します。
1-1:合格の判定基準
冒頭でも解説したように、国試では合格ラインが「合格基準」として下記のように明確に決まっています。
- 必修問題:全80問の正答率が80%以上(絶対基準)
- 領域A(総論)、B(各論):それぞれの平均点と標準偏差によって設定された基準点以上の得点(相対基準)
これを見て分かるように「〇点以上で合格」という試験ではなく、2つの基準によって合否が決められることになっています。
絶対基準、相対基準とはそれぞれ以下の意味です。
- 絶対基準とは・・・「80点以上ならば合格」のように、あらかじめ決められた基準を達成できたかどうかによって判定する方法
- 相対基準・・・「100人中、上位20人が合格」のように、個々人の得点数によらず、集団内の他者との比較によって相対的に判定する方法
歯科医師国家試験では、この2つの基準の両方の基準が用いられていることが特徴です。
国試の全体の構成から、より詳しく説明します。
1-2:歯科医師国家試験の問題の全体の構成
国試は下記のような構成になっています。
それぞれの合格ラインについて解説します。
1-2-1:必修問題
必修問題は、歯科医師として必須の基本的な知識を問う問題です。
総得点の80%以上の得点が必須という絶対基準が、合格ラインとして定められています。
そのため、必修問題の合格ラインをクリアできなければ、その他の領域でどれだけ得点していようと不合格になるのです。
実は、毎年「必修で1点足りずに落ちた」という受験生が多発していますので、しっかり対策する必要があります。
必修問題は、出題範囲が決められているため、過去問と似ている問題が出題されやすい傾向にあります。
一般・臨床実地問題と比べて対策しやすいといえるでしょう。
必修問題は全80問から構成され、問題形式は
- Aタイプ…選択肢の中から1つ選べ
- X2タイプ…選択肢の中から2つ選べ
が採用されています。
このX2タイプは第116回の出題基準の改訂によって採用されました。
必修問題は単純な知識のみで解答できる問題が多く、過去問の似た問題や基礎的知識に対しての暗記力や瞬発力が問われます。
しかし、中には見慣れない問題や即答できない問題ももれなく含まれているため、それらを瞬時に見分けた上で、論理的思考力によって答えを導き出すことが必要です。
必修問題対策としては、過去問で一度聞かれた問題は次年度以降に詳しく聞かれる可能性があるので、過去問の正答選択肢の深堀りや誤答選択肢のチェックなどが効果的です。
1-2-2:領域A、領域B
領域A、領域Bとは、歯科医師国家試験制度における出題上の区分を表す単語です。
領域AとBは、
- 一般問題(総論)100問:各1点 (計100点)
- 一般問題(各論) 80問:各1点 (計80点)
- 臨床実地問題 100問 :各3点 (計300点)
から構成されています。
相対基準を用いた基準点が設けられており、その基準点が合格ラインとなります。
相対基準で合格ラインが決まるため「〇点以上は合格」のように決まっているわけではありません。
毎回の受験生のレベルによって基準点が異なります。
そのため、あなたが受験する国試の回において、受験生全体の中で一定以上の点数を取らなければ合格ラインに入れないのです。
たとえば、合格発表時に、
- 領域A(総論) 58点以上/100点
- 領域B(各論) 244点以上/380点
というような基準点が公表されていれば、前述の必修問題の正答率80%に加えて、領域A・領域Bそれぞれの基準点を満たしている場合に晴れて合格となります。
参考までに、この基準点がどのように算出されるのか、簡単に説明します。
まず、基準点の算出には「平均点」と「標準偏差」が用いられています。
詳しい説明と計算方法は省いて説明します。
たとえば100点満点の試験の平均点が50点だった場合に、個々の受験者の得点が平均点付近に固まっているのか、幅広くバラついているのかを見る指標が標準偏差です。
この指標を用いる理由の1つとしては、領域A・Bを構成する一般問題と臨床実地問題は、正解が複数の選択肢からなる問題形式が採用されていることもあり、必修問題とは異なって平均点や得点のバラつきが年度ごとに変動し、合格基準点を設定すべき位置が毎回変わってくるためです。
1-3:合格ライン(基準)の近年の変化
歯科医師国家試験の合格ラインは、近年で第116回の歯科医師国家試験の出題基準の改訂によって変化しています。
必修問題以外の領域横断的な問題が増加したことから、合格基準が下記のように変更されました。
領域A、B、Cという区分
↓
領域A=総論、領域B=各論
第116回の国試からは、総論=領域A、各論=領域Bとシンプルな区分に変更されました。
この変更の背景としては、より各分野を横断的に理解しているジェネラリスト的な歯科医師を選別したい、という国の方針があると考えられます。
たとえば、第115回までの領域Bにおいては「小児は苦手だが矯正は得意」という人は、小児での失点を矯正でカバーすることで合格基準をクリアできる可能性がありました。
しかし、第116回以降の領域Bでは、各論の全ての範囲を満遍なく得点しなければ合格基準をクリアできる確率は低くなります。
このように、特定の分野だけが得意!というような受験生よりも、苦手分野をしっかりと伸ばせた受験生が合格できるような試験制度に変わったといえます。
合格ラインを決める出題基準は、おおむね4~5年に1回改訂されるのが近年の傾向です。
そのため、次回は第120回、121回あたりで改訂される可能性が高いため、該当する年に国試を受験する予定の方は注意しておきましょう。
それでは次に、今後の歯科医師国家試験の合格ラインがどう変わると考えられるか、解説します。
2章:歯科医師国家試験の合格ラインの今後の予測
歯科医師国家試験の合格ラインは、今後も変わっていく可能性があります。
近年の傾向から、今後あり得る合格ラインの変更予測を解説します。
2-1:合格者数の削減
試験制度の変更で一番大きなものといえるのは、「合格者数の削減」です。
合格者数が削減されれば、その分合格ラインも引き上げられてより難しい試験になりますので、今後の動向には要注意です。
そもそも、数十年という長いスパンで見ると、歯科医師国家試験は合格者数が削減される流れにあります。
近年では、第106回から第107回にかけて突如として400名削減されて以降、現在の2,000名前後の合格者数となりました。
また、2010年には東京歯科保険医協会が、将来的に新規参入歯科医師を1,200名まで削減することを提言しているように、今後も突如として合格者数が削減されることが大いにありえる状況といえるでしょう。
歯科医師国家試験の合格者の削減は、前もってアナウンスされるものではなく、あくまで合格発表の当日まで分からないことが大きな特徴です。
したがって、今後受験予定の歯学部生・浪人生は、合格ラインが引きあがることを見据えて、少なくとも模試の全国順位1,000番台前半を安定して狙えるように、計画的な勉強を行っていく必要があります。
歯科医師国家試験が難化してきた過程やその理由について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【歯科医師国家試験の難化】2つの理由と一発合格を目指すための対策
2-2:出題基準(ブループリント)の改訂
歯科医師国家試験の合格ラインは、出題基準(ブループリント)の改訂によっても変わります。
出題基準とは、簡単にいえば厚労省が決めている歯科医師国家試験の試験問題の作成基準です。
具体的には、
- 出題する分野やトピック
- どの分野やトピックを重視して出題するか
- 各問題の形式、配点、難易度
- 合格の基準
などを含んだものです。
最近のものでは、厚労省が令和5年版の歯科医師国家試験の出題基準を公開しています。
1章でも簡単に触れたように、近年では、4〜5年に一度出題基準が改訂される傾向にあります。
第116回試験では、
- 和漢薬を服用する高齢者や全身疾患を持つ者等への対応
- 医療のグローバル化に伴う国際保健
についての出題内容が追加されることが公表されました。
今後の出題基準の改訂の方向性としては、今回の改訂で和漢薬や全身疾患といった歯科領域に限らない医科領域からの出題が増えたことのように、今後はより高度な医科歯科連携の知識を問う出題が増えていくと予想されます。
直近では第116回の改訂された出題基準が2022年3月末に公表されているように、改訂される場合の具体的な出題基準は試験の約10ヶ月ほど前に公表されます。
もし、自分の受ける試験が改訂年度にあたった場合は、これまでの過去問だけでなく新しい出題基準に合わせた対策をしっかりと練った上で1年間勉強していく必要があります。
その際には、ブループリントと呼ばれる「歯科医師国家試験設計表」を隅々まで目を通して理解しておくことが重要です。
歯科医師国家試験で合格ラインを超えるためには、しっかり対策することが大事です。
最後に、国試で合格ラインを超えるための勉強法を紹介します。
3章:歯科医師国家試験で合格ラインを超えるための勉強法
ここまで解説してきたように、歯科医師国家試験は簡単な試験ではありません。
しかし、しっかり対策すれば、合格ラインを十分超えることは可能です。
そこで、歯科医師国家試験で合格ラインを超えるためには、下記の勉強法を実践してください。
- 時間配分と配点を意識して解く
- 苦手科目は後から対策する
- 模試はポイントを意識して活用する
順番に解説します。
3-1:時間配分と配点を意識して解く
歯科医師国家試験で合格ラインを超えるためには、効率的に問題を解くことが重要です。
そのためには、時間配分と配点を意識することが大事です。
なぜなら、国試では問題数や配点が決まっているため、ペース配分や優先的に解くべき問題を予測し、対策することが可能だからです。
歯科医師国家試験は、1日目の午前にA問題、午後にB問題、2日目の午前にC問題、午後にD問題が行われ、それぞれ2時間15分ずつ合計9時間で行われます。
2時間15分のそれぞれの試験時間の中では、
- 必修問題:20問
- 一般問題:45問
- 臨床実地問題:25問
の90問が出題されます。
最後の10分を解けなかった問題やケアレスミスの見直し、マークチェックの時間に充てるとすると、残りは2時間5分(7,500秒)となります。
そのため少なくとも、
- 必修問題と一般問題は1問当たり60秒
- 臨床実地問題は1問当たり約2分30秒(150秒)
のペースで解いていく必要があります。
このように、求められるペース配分は明らかであり、本番はプレッシャーもかかるため、普段からこれ以上のペースで解く練習をしていなければなりません。
また、1章でも解説したように、国試は出題基準で配点も決められています。
問題によって配点が異なるため、1問3点の配点である臨床実地問題を1問落とすことは、1問1点である必修・一般を3問落とすこととイコールということを意識しましょう。
つまり、配点が高い問題は優先的に解くことが大事です。
意外と試験本番では、臨床実地問題の見直しを後回しにしてしまった結果、3点を落としてしまうことが起こり得ます。
また、特に第116回以降は必修問題に「X2タイプ(選択肢の中から2つ選べ)」が採用されることから、過去問ではあまり意識することのなかった必修問題の見直しに時間が取られる可能性があります。
そのため、あらためて「配点」を意識し、どの問題から見直していくか考えておきましょう。
3-2:苦手科目は後から対策する
歯科医師国家試験の受験対策として、得意科目から勉強することも大事です。
苦手科目があると「苦手科目をなんとかして克服したい」「苦手意識を解消したい」と焦ってしまう方も多いようです。
しかし苦手科目から取り組むと、なかなか他の科目に手が回らず時間を浪費し、他の科目を対策する時間が不足してしまう可能性があります。
そのため、まずは得意科目を優先的に勉強して、得点力の向上と科目間の横断的な知識を身につけることをおすすめします。
具体的には、まず勉強に対する抵抗が少ない得意科目に取り組み、科目間の横断的な知識を身につけることを目標にして勉強を進めましょう。
最初にこのような勉強を行っておくと、のちに苦手科目に取り組んだ際に、すんなりと理解できるようになります。
3-3:模試はポイントを意識して活用する
模試は、歯科医師国家試験の出題傾向に合わせて作成されますので、国試で合格ラインを超えるためには、対策としてしっかり活用するべきです。
そのため、具体的には下記のようなポイントを意識して受けることをおすすめします。
- 苦手科目の確認
- 時間配分
- 今の勉強量でどれくらいの点数が取れるかの確認
また、模試は解きっぱなしにして終わりにしてはいけません。
模試の結果を活用することが大事です。
そこでこれから、模試結果の活用法を説明します。
実際にあなたが模試を受ける際や、模試結果が手元に届いた際にはぜひ参考にしてください。
3-3-1:領域別・科目別の全国平均と比較する
2章で説明したように、歯科医師国家試験の合格ラインは、領域A・Bにおける相対基準からも決まります。
そのため、模試の結果から、自分が合格ラインに対してどのくらいのレベルにいるのか、相対的な立ち位置を把握するのに活用しましょう。
具体的には、領域別・科目別の全国平均と自分の得点率を比較し、自分の苦手分野と相対的な位置を把握するようにしてください。
3-3-2:正答率が80%以上の問題の復習
全国平均正答率が高い問題(易問)は、合格ラインを超えるために必ず正答できるようにするべきです。
そのため、自分が落としてしまった問題については、今後は落とさないように必ず復習しましょう。
正答率80%以上をひとつの基準として優先順位付けを行いながら復習に取り組むことが大事です。
3-3-3:ケアレスミスの発生箇所・原因の特定
重複マークや未記入、マーキング不良が起きている場合は、本番でも同じケアレスミスをしてしまう可能性があります。
見直してそういう箇所があれば、必ず再発防止策を考えてください。
3-3-4:模試解説書の活用
各問題の正解・不正解だけでなく、各選択肢の解説を読んで、知識がどれくらい定着しているかを把握しましょう。
また解説書の付録でその周辺知識も合わせて復習しておくことも重要です。
このように、模試結果は見るべきポイントを決めた上で自分の立ち位置を確認し、復習の材料として有効活用していくことで、今後の戦略に繋がりますので、以上のポイントをぜひ参考にしてください。
ここまで、歯科医師国家試験で合格ラインを超えるためのポイントを解説しました。もし、まだ国試で合格できるか不安な方は、当サイトを運営する「60日合格塾」にお気軽にご相談ください。
60日合格塾は、
- 1単元1枚のオリジナルテキスト
- アウトプット中心の個別カリキュラム
- 完全オンライン、全国対応可能
という特徴を持つ歯科医師国家試験専門の塾です。
60日という短期間の対策で、国試合格の実力をつけられるカリキュラムになっています。
LINEで無料相談も行っておりますので、お気軽にご連絡ください。
まとめ:しっかり対策すれば合格ラインを超えられる
歯科医師国家試験の合格ラインについてや、合格するためのポイントについて参考になったでしょうか?
最後に今回の内容をまとめます。
歯科医師国家試験の合格ラインは、下記の通りです。
- 必修問題:全80問の正答率が80%以上(絶対基準)
- 領域A(総論)、B(各論):それぞれの平均点と標準偏差によって設定された基準点以上の得点(相対基準)
歯科医師国家試験の合格ラインは、今後下記のように引き上げられる可能性があります。
- 合格者数の削減
- 出題基準(ブループリント)の改訂
国試に合格するには、下記の対策を行うようにしましょう。
- 時間配分と配点を意識して解く
- 苦手科目は後から対策する
- 模試はポイントを意識して活用する
国試に不安がある方は、ぜひ当サイトの他の記事も参考にして勉強を進めてください。
当メディア「歯科国試ドットコム」は、歯科医師国家試験の受験生が確実に合格できるように、受験生本人と親御様向けに情報提供するメディアです。
もしあなたが、歯科医師国家試験に対して不安を抱えている場合、ぜひ当メディアの記事を読んで知識やスキルを身に付け、合格に向けた正しい努力ができることを願っています。